孫怡がフェイスマスクを塗り終えると、かなり儀式的に部屋に戻っていった。
行く前に、さらに葉辰に冗談を言った。「本宮のこれほど長年の夢がついに実現するわ。これもみんな辰ちゃんのおかげよ。」
「そうそう、辰ちゃん。寂しい夜に、春宵一刻、男女二人きり。本宮の寝所に侍るのは嫌じゃないでしょう?」
葉辰が立ち上がるふりをすると、孫怡は葉辰に舌を出して、そのまま小さな歌を口ずさみながらドアを閉めた。
「本宮は今日生理中だから、また今度ね。」
また'今度'?
葉辰は仕方なく鼻を撫で、そのまま自分の部屋に戻り、密室に入って修行を始めた。
彼は陳寶國に勝つ絶対的な自信があったが、万全を期すために、実力を上げることに問題はない。
万が一のときには、彼にはまだ最大の切り札がある!
黒い石で、あの大能者を呼び寄せる!
上古の人物がどれほど凄いのかは分からないが。
「まあいいや、考えるのはやめよう。安心して修行しよう。」
今の彼の境界は開元境第七層だ。数粒の丹薬を服用して、今夜第八層に突破できるかどうか試してみよう。
葉辰は目を閉じ、《九天玄陽決》を運転させると、淡い光が体から滲み出た。
彼の周身は赤い光に覆われ、強大な気配はさらに丹田から龍吟を引き起こした。
そのとき、一つの黒い石が飛び上がり、葉辰の頭上に浮かんだ!
一筋の霊気が石から射出され、葉辰の眉間に入り込んだ!
たちまち部屋中が赤い光で明滅し、葉辰の修行レベルも急速に上昇していった!
……
翌日、葉辰は目を開け、一息濁気を吐き出した。
一晩の修行を経て、彼は無事に開元境第八層に踏み込んだ。
「この修行速度は速すぎるんじゃないか。理屈から言えば、華夏の霊気は希薄で、あの場所ほど濃厚ではない。突破の速度はもっと遅くなるはずなのに、自分の状況はまさにその逆だ?」
葉辰の視線は黒い石に落ちた。
「もしかして、お前のせいか?」
そのとき、黒い石が突然浮かび上がり、軽く揺れた。まるで頷いているかのようだった。
「なんだと!お前この石、動くのか?」
言葉が落ちると、黒い石はまた沈黙し、少し怒ったようだった。
葉辰がさらに石を研究しようとしたとき、外から孫怡の声が聞こえてきた。