烏項明は葉辰の手にある丹薬を見つめ、体が少し震えた。
これは全部で10粒の丹薬だ!
修行の速度が3倍になる!
これをオークションに出せば、間違いなく価値連城の宝物だ!
しかし葉辰は何の躊躇もなく彼に渡した。
彼の視線はゆっくりと下に移り、あの小さな本に落ちた。
その上には刀で刻んだような文字で『神炎の秘訣』と書かれていた。
この心法がどれほどのものか分からないが、葉辰の言葉ははっきりしていた。
烏家の功法はゴミのような武学だ!
本当に凄いのはあの小さな本の中身なのだ!
この瞬間、彼の瞳が少し赤くなった。これは一種の帰属感だった!
彼は葉辰に精血を植え付けられ、本質的には下僕で、どんな言葉も従わなければならない。
しかし葉辰は一度も彼を下僕として扱ったことがない!
烏家と比べると、彼は葉辰の側で犬のようではなく、生き生きとした人間のようだった!
独立した人格を持つ人間として!
彼は丹薬と功法を受け取り、拳をわずかに握りしめ、一言一句丁寧に言った。「これからは、私烏項明の命は葉さまのものです!」
葉辰は何も言わず、目を閉じた。
彼には分かっていた。烏項明の基礎と天賦の才はとても良く、今の彼の周りには何人かの高手を育てる必要があった。
烏項明は最適な人選だった。
だから彼に丹薬と『神炎の秘訣』を与えたのだ。
さらに、彼はすでに人に頼んで百草鼎を江南省に送らせていた。だから丹薬は他の人にとっては価値連城かもしれないが、彼にとってはキャンディーのようなものだった。
『神炎の秘訣』に関しては、これは崑崙虛のつまらない功法の一つに過ぎないが、華夏あるいは江南省に置けば、間違いなく最高級功法だ!
烏項明の実力を大きく向上させるのに十分だ!
今のところ、少なくとも烏項明の実力が烏啟源を超えることを望んでいる!
これは彼の周りの人々にとっても一つの保障となる。
葉凌天の実力は強く、勢力も広いが、これはあくまで葉辰の隠れた力だ。
隠さなければならない。