彼はまた、病床の老人の顔色が少し赤味を帯びてきたことに気づき、丹薬を飲ませようと思ったが、彼のポケットにある丹薬の効果が強すぎて、老人の体が耐えられないかもしれないと気づき、断念せざるを得なかった。
夏若雪が葉辰の側に歩み寄り、小声で言った。「葉辰、おばあちゃんは本当に目覚めるの?」
葉辰は微笑んで言った。「君に約束したことで、果たせなかったことがあるかい?」
夏若雪が何か言おうとした時、病床の祖母が軽く咳をしたのに気づいた。彼女の瞳が輝き、急いで駆け寄った。
夏ははも非常に興奮し、声を震わせながら言った。「お母さん、あなた...目覚めたの?」
病床の老人が目を開けると、その濁った瞳に一筋の光が走った。手を伸ばして「水...」と言った。
夏若雪は急いでぬるま湯を一杯注ぎ、注意深く老人を起こして座らせた。「おばあちゃん、まず少し水を飲んで、ゆっくりね。」
老人は水を飲み終えると、目を葉辰に向けた。
さっきまで意識がなかったが、いくつかのことは分かっていた!
むしろ、この数日間病室で起こったすべてのことを、はっきりと感じ取ることができた。
他の人に反応したいと思い、体を動かそうとしたが、全く不可能だった!
この感覚は、まるで闇の中に閉じ込められているようで、とても苦しかった。
葉辰が近づいてきて、何か言おうとした時、病床の老人は葉辰の前にひざまずこうとした。
これは命の恩人なのだ、どう報いればいいのか分からない!
「葉名醫、私の一拝を受けてください...」
葉辰は急いで老人を支え、ひざまずくのを止めて言った。「おばあさん、何をなさるんですか?私は若雪の友人です。助けるのは当然のことじゃありませんか?あなたがこうして私にひざまずくなんて、私には過分すぎます!」
夏若雪も同じように祖母を支え、諭すように言った。「おばあちゃん、葉辰は身内なんだから、そんなことしなくていいのよ。それに、彼はまだ私に恩があるんだから。この前、私と寝...」
突然、声が途切れた。
うっかり口を滑らせてしまった!
夏若雪の体が硬直した。それだけでなく、夏ははと老人も少し呆然としていた。