誰もが葉辰が死に瀕した時、あの伝説の人物が現れるとは思わなかった!
しかもその態度は明確だった!
皆の前で、葉辰を守ると宣言したのだ!
その瞬間、千珏山の頂上では息を呑む音さえ聞こえなくなった!
全員が石のように固まり、目を見開いた!
どうしてこんなことが?
このような強者が、無力な若者を直々に守るなんて!
全員の視線が思わずその寺院の大門に向けられた!
浄仏寺!
武道界の禁斷の地!
淨道大師という強者がいるからだ!
十年前、彼は宗師ランキング第十一位の存在だった。十年経った今、彼の実力がどれほどのものか、誰も知らない!
さらには、淨道大師が現在の宗師ランキング第三位の強者と一度戦ったという伝説まである!
しかも引き分けだったという!
伝説とはいえ、人々を畏怖させるには十分だった!
全員の心の中で叫びが響いた:なぜ葉辰なのか!
なぜ彼がこのような大先輩の目に留まったのか?なぜこのような強者にこれほど強く守られるのか?
やがて、袈裟を着た老人が歩み出てきた。その足取りは軽く、気配は微塵も漏らさない。
強者の気配はなくとも、彼が一歩進むごとに、その場にいる古武術家たちの心を踏みにじるかのようだった!
粉々に砕け散る!
葉辰を殺そうとしていた者は目を凝らし、極めて深刻な表情を浮かべた。これが葉辰を殺す最高の機会だと分かっていた!諦めたくなかった!
淨道大師の存在も気にせず、全ての力を集中して葉辰の首に斬りつけようとしたが、それは不可能だった。
「私の言葉が聞こえなかったのかな?」
言葉が落ちると同時に、その長衣の老人の刀は砕け散った!
欠片の一つが彼の腹部に突き刺さった!
「消えろ!」
淨道大師が手を伸ばし、五本の指を握りしめると、極めて強い勁気が爆発し、長衣の老人は吹き飛ばされた!
地面に激しく叩きつけられ、血を吐いて気を失った。
この光景に、人々は呆然とした!
寺院の大師というのは普段「貧僧」と言い続け、積極的に人を傷つけたりしないはずなのに?
目の前の淨道大師は一体何なのだ!
暗い影が全員の心を覆った。
淨道大師はすでに葉辰の前に来ており、傍らの安素山を一瞥して淡々と言った。「彼を連れて行くが、何か意見があるか?」
安素山は全身を震わせた。このような伝説級の強者の前で、どんな意見など持てようか!