第363章 制御不能!(1更)

葉辰が血梅殿から出たとき、時計を見ると、すでに夜の11時だった。

そろそろ帰る時間だ。

血梅殿の陣法から出たとき、彼は近くに停まっているマイバッハに気付いた。

この荒れ果てた農地の近くにこのような車があること自体が異常だった。

しかしすぐに思い当たった。このマイバッハは項承東の車だ。

車のドアが開き、項承東が慌てて出てきた。

「葉さま、あなたが...まさか無事に出てこられるとは?」

この時の項承東の心中は緊張に満ちていた!

血梅殿がどれほどの力を持っているか、彼はよく知っていた。普通の人間が中に入れば、生きて出てくることなど不可能なのだ!

しかし葉辰は今、無傷で戻ってきた。

しかも体には濃い血の匂いが残っている。

少なくとも10人以上が死んだに違いない!

まさか葉辰が本当に血梅殿を鎮圧したのか?

たった一人で皆殺しにしたというのか?

そんなはずがない!

葉辰は詳しい説明をする必要もなく、ただ尋ねた。「幽霊刑務所の者から最近連絡はあったか?」

項承東は首を振った。「彼女はすでに時間と場所を私に伝えました。葉さまもご存知の通り、あと24時間後です。」

葉辰はマイバッハの後部座席に向かいながら命じた。「京城師範大學まで送ってくれ。」

「はい。」

車のドアが閉まった。

項承東は助手席に座り、運転手に運転させた。後部座席は葉辰一人に任せ、完全な静寂を与えた。

葉辰は目を閉じ、呼吸を整え、九天玄陽決を運転しようとした。

突然、彼のポケットの電話が鳴り出した。

意外にも魏穎の母からだった。

切ろうと思ったが、少し考えて出ることにした。

「何か用か?」

葉辰の冷たい声が響いた。

魏のお母さんは電話が繋がったのを確認すると、ほっと息をつき、すぐに興奮した様子で言った。「先輩、お聞きしたいのですが、穎兒はあなたと一緒でしょうか?夜に電話をしたら、とても騒がしくて、家に帰ったら電話すると言っていたのですが、今まで電話がなく、電話にも出ないので、先輩にお聞きしようと...」

葉辰は目を細め、朝食を持ってきた時に魏穎が夜に校長主催の何かの活動に参加するよう誘ってきたことを思い出した。

その時は断ったが、魏穎は夜にこの活動に参加したはずだ。