葉辰は遠くにいる魏穎を見て、思わず一歩後ずさりした。
もし体内の血龍の幻影が飛び出さなかったら、耐えられなかったかもしれない。
この殺血寒體は世界の十大厄體の一つと呼ばれるだけのことはある。
今の彼の境界でさえ耐えられないとは!
そして今、魏穎の顔は真っ青で、さらに苦痛の色が浮かんでいた。
瞳孔にまで血の色が浮かび上がっていた。
葉辰は急いで傍らの滄海平に尋ねた:「今どうすればいいですか?」
滄海平は直接魏穎の前に進み出て、指を彼女の眉間に当てた。
光が明滅する。
「まず、彼女に精血を一滴出させなさい。」
葉辰は急いでその言葉を魏穎に伝えたが、彼女は全く反応を示さなかった!
「もっと近づきなさい!今の彼女の状態は走火入魔と変わらないのだ!」
滄海平が声を上げた。
葉辰は頷き、魏穎の前に進み出て話そうとした瞬間、魏穎の一撃が襲いかかってきた!
しかもこの一撃の威力は驚くほど恐ろしいものだった!
修武していない者の力とは思えない!
少なくとも離合境レベルだ!
しかし、寒掌が葉辰の胸に触れようとした瞬間、止まった。
魏穎は少し意識を取り戻したようだ:「自分の体が制御できなくなってきた、これからどうすればいい?」
葉辰は急いで言った:「体内の力を使って、精血を一滴出すんだ!」
「わかった。」
次の瞬間、魏穎の目が再び変化し、葉辰の前に止まっていた手が突然打ち出された!
葉辰は魏穎がこんなに急激に変化するとは思いもよらなかった。
体が吹き飛ばされ、血気が上がり、極限まで苦しくなった。
「これはひどすぎる。」
おそらく葉辰の声を聞いたのか、魏穎は少し意識を取り戻した:「葉辰、ご、ごめんなさい、わざとじゃないの。」
「わかってる。」
葉辰は体を動かしながら、相手を責めることはなかった。
「今すぐ精血を出します。」
おそらく殺血寒體の影響で、魏穎は何かを理解したようで、手から直接精血を一滴放出した!
「弟子よ、今だ、血龍でその精血を飲み込め!」
滄海平は何かを見逃すことを恐れ、急いで叫んだ。
「はい!」
葉辰は目を閉じ、蒼穹の血龍を操った!
血龍は龍吟を響かせ、天から降り立ち、巨大な口を開けて龍息を漂わせた。
精血は直ちに血龍に吞噬された!