葉辰の瞳が僅かに縮んだ。
前回、林絕龍という三文字も、あの方から教えてもらったものだった。
林家の場所を知るには、あの方に会うしかないだろう。
「雷樹偉、あの方と連絡を取ってもらえないか?会いたいんだ」葉辰は決意を固めて言った。
あの方に会うのは簡単ではないと思っていたが、雷樹偉は意外にもすぐに答えた。「葉さま、ちょうどいいところです。あの方も最近お会いしたいとのことで、明日午前10時に京城師範大學まで車でお迎えに上がります。ご都合はいかがでしょうか?」
「もし葉さまのご都合が悪ければ、数週間後に延期になるかもしれません」
葉辰は数秒考えてから答えた。「わかった、明日でいい」
電話が切れた。
葉辰は、あの方が自分に会いたがっていることにそれほど驚かなかった。幽霊刑務所が破壊され、さらに京城師範大學での出来事もあり、騒ぎが大きすぎたため、誰かが接触してくるのは必然だった。
ただ、その人物があの方だとは思わなかった。
江姵蓉は葉辰が電話を切るのを見て、何かを察したように好奇心を持って尋ねた。「何か分かったの?」
葉辰は頷いた。「母さん、安心して。林絕龍が父さんに何かしようものなら、必ず一生後悔させてやる!」
江姵蓉は窓の外を見つめ、思考に沈んで言った。「林家が父さんを狙っていないことを願うわ。どうしても理解できないの。父さんはただの普通の人なのに、林家が何か知りたいなら、私を捕まえるべきでしょう。なぜ父さんなの?」
この言葉を聞いて、葉辰はすぐにポケットの黒い石のことを思い出した。
輪廻墓地、百人の大能者、これは誰もが欲しがるものだ。
しかも、これは父から彼に渡されたものだった。
しかし、これまでに得た情報によると、林絕龍はこの石の存在を知らず、他の何かを探しているようだった。
もしかして江城葉家に何か問題があるのだろうか?
葉辰は何かを思い出したように母に尋ねた。「母さん、うちの家に族譜のようなものはある?なぜ僕は一度も祖父母や他の直系親族に会ったことがないんだろう?」
江姵蓉は首を振った。「あなたの祖父母は早くに亡くなったの。聞いた話では、ごく普通の人で、数十年前に少し裕福だっただけよ。それ以外のことは、私もよく知らないわ」