第385章 逃げようとしても、させない!(その1)

林絕龍は江姵蓉の脅しに少しも怖がる様子もなく、闇の中へと進んでいった。

自分の実力を信じていたからこそ、戦えば勝利は確実だと思っていた。

「林絕龍、お前は悲惨な死に方をすることになるわ!自分がどれほど愚かなことをしているのか、全く分かっていないのね!」

江姵蓉は叫んだ。

これは妻の怒りだった。

やっと家族が再会できたというのに、まさか途中で林絕龍が現れるとは!

林絕龍は数歩進んだ後、何かを思い出したように立ち止まり、冷ややかに言った。「江姵蓉、お前の脅しなど私の目には何の価値もない。よく分かっておけ。お前はすでに江家から追放された。江家が役立たずを助けるはずがない。お前の息子のことだが、生きていたとしても、どうということはない。あいつは昔から私の目には無能だったし、今もそうだ。」

「江家は確かに京城のトップクラスの一族だが、忘れるな。私の林家は、ある意味で江家の数倍の力を持っているのだ!さもなければ、あの時雲湖山荘でお前たちを滅ぼした時、江家が動かなかったはずがない。知らなかったわけではない、動く資格がなかったのだ。

お前の兄が崑崙虛にいるのは確かだが、私も崑崙虛から来たということを知らないだろう。

まもなく、中華武道界全体が我が林家の支配下に入る。私、林絕龍が王となるのだ!」

「それに、葉天正は私にとって重要だ。彼は死なない。もし価値のある情報を話してくれれば、彼を返してやる。さもなければ、お前たち一家で陰曹地府で再会することになるぞ!」

そう言い終えると、林絕龍は闇の中に消えていった。

消える直前、林絕龍の冷たい声が闇の中から聞こえてきた。「曾おじいさん、この女に利用価値はない。殺してしまえ。」

曾天奇は闇の方を一瞥した後、視線を江姵蓉に向け、冷笑した。「お前が中華武道界の驚くべき醜聞の主役、江姵蓉か?」

当時、江姵蓉が江家から追放された事件は大きすぎて、曾天奇でさえその一部を知っていた。

江姵蓉は元々天の麗人で、真の天命の人だった。古武道でも修行でも、少しでも踏み込めば、必ず高い成果を上げられたはずだった。

しかし江姵蓉は自分の我儘で、良い手札を台無しにしてしまった。

その事件は中華武道界を震撼させただけでなく、崑崙虛と華夏を行き来する修行者たちの耳にも入っていた。