彼が話そうとした瞬間、落劍宗の孫宗主が口を開いた。「閣下、これはどういうことですか...なぜこの葉辰を廃人にせず、むしろ...」
孫宗主は言葉を濁し、驚いた様子で沈石溪を見つめた。
しかし、この言葉を聞いた沈石溪の表情は一変し、殺気が漂った。
「師匠、この蟻ごときが大声で喚くとは、まさに死を求めているようだ!」
沈石溪の目には、玉の護符を持つ者こそが師匠だった!
萬道劍尊の態度と葉辰の劍技から見て、葉辰はおそらく萬道劍尊の弟子なのだろう!
世代で言えば、それは萬劍宗を創立した人物と同じ地位だ!
いや、それ以上かもしれない!
そうなると、萬劍宗の全員、さらには宗主までもが葉辰を師匠と呼ぶべきなのだ!
葉辰が返答する前に、沈石溪は猛然と立ち上がり、一陣の狂風となって孫宗主へと襲いかかった!
冷たい殺気に孫宗主の顔色は青ざめた!
彼は沈石溪がなぜ突然自分に手を出すのか理解できなかった!
師匠?
萬劍宗の長老が葉辰を師匠と呼ぶだと?
そんなことがあり得るのか!
根骨二十歳そこそこの若者が、どうして萬劍宗の師匠であり得るのか!
無数の疑問が孫宗主の頭を巡った!
しかし考える暇はもはやなかった!
殺気が暴風雨のように迫ってきた!
沈石溪はすでに孫宗主の目の前に現れていた!
「閣下...」
孫宗主の言葉が終わる前に、沈石溪の五本の指が彼をつかんだ!
そして相手を持ち上げた!
この瞬間、天地さえも沈石溪の変化を感じ取り、それに応じて変化した。
空気は凝固し、雰囲気は重苦しく、世界全体が突然静まり返った。
死のような静けさが、人々を窒息させるようだった!
沈石溪の両目は、まるで世界を見通すかのように孫宗主を見つめていた。
その鋭い眼差しに、孫宗主は喉を締め付けられ、息ができないと感じた。この瞬間、彼は凶暴な猛獣と対峙しているかのようだった!
「孫宗主、何をしてはいけないかといえば、師匠に無礼を働くことだ!お前だけでなく、落劍宗全体が今日から滅びる!師匠の怒りは、誰も耐えられない!」
これが沈石溪の言葉だった。
五本の指の力が爆発し、すでに孫宗主の首を貫いていた!
鮮血が流れ出した!
極めて残酷な手段だった!