来た人は答えず、酔っ払った目で寝床に近づき、そのまま横たわった。
葉淇は酒の匂いを嗅ぎ、眉をひそめた。「坊ちゃま、酔っ払ってるんですか?ここは私の部屋ですよ!」
そう、深夜に酔っ払って入ってきたのは陸厲沉だった。
薄暗い中、陸厲沉は少女の輝く目を見た。怒りを含んでいた。
陸厲沉は眉を上げて葉淇を見つめ、尊大に言った。「どうした?お前の部屋に俺が寝てはいけないのか?」
彼は葉淇のあごを掴み、冷笑した。「お前は俺が育てた身だぞ。お前のベッドで寝て何が悪い?」
葉淇は黙り込み、どう反論すべきか分からなかった。
「いいから、黙って寝ろ!」陸厲沉は葉淇を抱き寄せ、二人でベッドに横たわった。
葉淇は陸厲沉から逃れようとしたが、さらに強く抱きしめられた。
身動きが取れず、彼女は息を殺して横たわるしかなかった。
しばらくすると、陸厲沉の規則正しい寝息が聞こえてきた。
月明かりを頼りに、彼女は近くで男の端正な顔立ちを見つめた。
整った眉目、眠っている彼は天使のようで、昼間の彼とは大違いだった。
彼は深く眠り、時々眉をひそめ、時々長い脚を伸ばして葉淇をさらに強く押し付けた。
葉淇はとても眠りたかったが、目を閉じると、隣に陸厲沉がいることを思い出した。
彼女の体は緊張し、真っすぐ天井を見つめ、眠気を感じる余裕もなかった。
窓の外の夜は次第に濃くなり、やがて朝方になって薄れ、白んでいった......
ついに夜が明け、朝の日差しがベッドに差し込み、暖かさをもたらした。
陸厲沉はぼんやりと目を開け、目の前の光景に驚いて急に起き上がった。
彼は葉淇を一瞥し、少し戸惑った様子で言った。「なぜお前が俺の部屋にいるんだ?」
葉淇は無表情で答えた。「坊ちゃまが私の部屋にいるんです。」
陸厲沉は驚いた表情を浮かべた。「俺はいつお前の部屋に来たんだ?」
「昨夜深夜です。」
彼は周りを見回し、確かに葉淇の部屋だと確認した。
この認識に陸厲沉は心の中で何故か苛立ちを覚えた。自分はどうしたんだ?酔っ払って彼女の部屋に来るなんて?