そしてこの名誉は、陸厲沉だけが彼女にもたらすことができるものだったので、彼女は陸厲沉にしがみついて離さなかったのだ。
傍らにいた靳澤と景言深も宴会の会場にいて、陸厲沉が現れるのを見るとすぐに近づいてきた。
「沉くん!」靳澤は笑顔で彼の肩を叩き、親しげな様子だった。
景言深は陸厲沉を見つめ、言いかけては止めた。
彼の顔にはまだ少し青あざがあったが、それは前回陸厲沉に殴られたものだった。
しかし今見ると随分良くなっており、あごのところに少しだけ残っているが、注意して見なければ分からないほどだった。
陸厲沉は二人を無視し、赤ワインを一杯取って一口飲んだ。
景言深は少し黙ってから、前に進み出て言った。「沉くん、来月3日に、僕と葉淇が婚約するんだ…」