第88章 景言深が罠にかかる

帝紫玉は嬉しそうに彼を見て言った。「姉さんの旦那が来てくれると思ってたわ!」

言深は彼女をちらりと見て、冷ややかに言った。「紫玉、僕が婚約することは知ってるだろう。これからは君の誕生日に付き合うことはできないよ」

帝紫玉は口をとがらせ、不機嫌そうに言った。「姉さんの旦那、こんな時にそんな興ざめなことを言わなきゃいけないの?」

「今日は私の誕生日なのよ。もう少し楽しいことを言ってくれてもいいじゃない?」

言深はテーブルをコツコツと叩き、淡々と言った。「でも、これが事実だ。君は受け入れなければならない」

「あなたが葉淇と婚約することは知ってるわ。でも、どう考えても私はあなたの妹なのよ。私の誕生日に付き合ってくれるくらいはいいでしょう?」

言深は冷静に言った。「いいよ。でも、これが最後だ」

将来、結婚したら自分の妻の誕生日にしか付き合わないつもりだった。

「わかったわ、最後なら最後で」

帝紫玉は明るい笑顔を見せた。「でも、最後なら、今からは他のことは言わないで。私の誕生日だけに集中してよ。それくらいいいでしょう?」

言深は帝紫玉の可愛らしい顔を見つめ、冷たい目つきが少し深くなった。

正直に言えば、帝紫玉と帝紫嫣はよく似ていて、二人とも一目で心を奪われるような美女だった。

ただ、容姿が似ているだけで、性格は正反対だった。

帝紫嫣の性格は穏やかで度量が大きく、リビングルームにも台所にも通じ、蘭のように人の心を動かす。

一方、帝紫玉は非常に可愛らしく、性格は無邪気で、愛と憎しみが激しく、甘やかされた子供のようだった。

以前は、言深は帝紫嫣のために帝紫玉をよく面倒を見ていたが、彼女も彼に対して、あるべきでない気持ちを抱くようになったとは思いもよらなかった。

今、彼は葉淇と結婚しようとしているので、当然これらの障害を取り除く必要があった。将来、慕容芊芊のように何か問題を引き起こさないようにするためだ。

「最後の誕生日を一緒に過ごすことは約束できる。でも、これからは大人しくして、自分の立場をわきまえなさい。わかったか?」

帝紫玉は口をとがらせて言った。「わかったわよ。もうそんなに言わないでよ!」