韓越は焦って言った。「そんなことできないよ。君たち二人の子供だけじゃ危険すぎる。」
「危険じゃないよ、悪い人は一人もう出て行ったし、今の状況なら私たちで何とかできる。」
韓越は眉をひそめて言った。「悪い人が一人出て行った?それはどういう意味だ?」
擎ちゃんはすぐに聞いた会話を一つ残らず韓越に伝えた。
韓越は話を聞き終わるとすぐに拳を握りしめた。「あいつらよくもそんな大胆なことを。姫様をこんな風に陥れるなんて。」
「擎ちゃん、待っていてくれ。今すぐ中に入って、あの男女二人を片付けてくる。」
擎ちゃんはすぐに断った。「ダメだよ、韓越おじさん、僕の言うことを聞いて!」
彼は外の様子をうかがいながら、韓越に言った。「ここの悪い人はそんなに多くないよ。全部で男一人と女一人だけ。」
「男の人は出て行ったから、おじさんが捕まえて。女の人はママと一緒にいるから、僕と妹が担当する!」
「お互いに片付けたら、入り口で会えばいいよ。」
「でも……」
「でもなんてないよ。僕が王子なんだから、僕の言うことを聞けばいいんだ。」
韓越……
彼はため息をついて言った。「わかった。じゃあ君たち、絶対に気をつけるんだ。危険を感じたらすぐに逃げるんだぞ。」
「どっちにしても姫様がここにいるってわかったんだから、なんとか奴らを倒す方法はあるはずだ。」
擎ちゃんは真剣な表情で言った。「ダメだよ。この二人の話を聞いただけで、狡猾で陰険な奴らだってわかる。油断はできない。」
「奴らの不意を突くのが一番いい。そうすれば救出の可能性が高くなる。」
「そうしないと、二人の悪い人が警戒し始めて、ママに悪いことをするかもしれない。」
韓越は擎ちゃんの的確な分析を聞いて、親指を立てた。「よし、じゃあ君の言う通りにしよう。」
擎ちゃんは王子の名に恥じない綿密で周到な思考の持ち主だ。彼の指示を聞いて、韓越は自信を取り戻した。
「でも、もし何か危険な目に遭ったら、必ず連絡してくれ。すぐに救助隊を送り込むから。」
「うん、30分以内に出てこなかったら、人を連れて中に入ってきて。」
韓越はうなずいた。「OK。」
二人で話がついたあと、擎ちゃんは電話を切った。