第354章 白狼さんを召喚

ジェリーは手を伸ばして磁器の瓶を受け取った。

彼が開けて中を確認すると、中の薬を見て再び驚愕した。

ジェリーは幼い頃のことを思い出した。両親が旅の高僧を救ったことがあった。その時、飢え死にしそうな高僧に食事を提供したのだ。

そして、その汚れた姿も気にせず、家に招き入れた。

丁重にもてなし、仙人のような風格を持つその老人に入浴させ、新しい衣服に着替えさせ、数日間も家に滞在させた。

お礼として、その高僧は三つの薬丸をくれた。

その時、高僧は両親にこう告げた。「この薬に特別なところはありません。ただ、あらゆる毒を解き、あらゆる病を治すことができるだけです。これを差し上げます。」

「数日間のご厚意へのお礼として。」

当時、ジェリーの両親はそれほど重要視せず、礼儀として受け取り、高僧に感謝を述べた後、薬丸をどこかに仕舞い込んでしまった。

しかし、その後。

ジェリーの父が重病に倒れ、どんな薬も効かなかった。

母は突然、かつての困窮した、飢え死にしそうだった老人のことを思い出した。食事と宿を提供したお礼にもらった薬丸のことを。

ジェリーの母はもう他に方法がなかった。

藁にもすがる思いで、父親に薬丸を一つ飲ませた。

すると驚いたことに、死の淵にいた父が回復し、健康を取り戻したのだ!

そしてその後、ジェリーが襲われ、猛毒に冒された時も、この薬丸によってジェリーの命を奪いかけた毒が簡単に解毒された。

三つの薬丸は最後の一つだけになった。

二つ目の薬丸でジェリーの命が救われた後、残った一つの薬丸が消えてしまった。

まさかジャックが隠していたとは!

ジャックはこの薬丸で何をしようとしていたのか?命を守るため?それともこの薬丸を研究して、より多くの神薬を作り出そうとしていたのか?

いずれにせよ、島に戻ったらジャックに詳しく問い詰めなければならない!

それにこんなに重要な薬丸を、ジャックは簡単にあの女に渡し、彼女に自分を殺させようとした。

ジャックの殺意は消えていないようだ。

しかも愚かにも、一人の女で事が成せると思っていたとは、ふん!

ジェリーは薬丸を受け取った。

彼は双子を連れてS国の埠頭に入った。

ここまで来て、彼らにこう告げた。「私には重要な用事がある。ここはもうS国の埠頭だから、自分たちで家に帰りなさい。」