第405章 あなたこそが私の好きな人

しかし、彼が崖から落ちた瞬間、葉淇は初めてその男性が自分にとってどれほど大切な存在なのかを悟った。

彼女は考えることもなく、男性と一緒に崖から落ちようとした。

彼が見つからない間、彼女は不安で胸が張り裂けそうだった！神様に祈り、自分がどうなってもいいから、ただ彼が無事でいてくれることだけを願った。

どうなってもいい、命と命を交換してもいい。

彼が生きていられるなら、自分の寿命と引き換えにしてもいいと思った！

韓越と席坤たちが彼を見つけ、全身血まみれで、毒アリに噛まれて腫れ物だらけ、死人のように腫れ上がった彼を運んできた時。

葉淇は完全に呆然と、茫然としてしまった！

もし彼が本当に死んでしまったら、どう向き合えばいいのか分からなかった！受け入れられない！きっと彼と一緒に死んで、この世を去るしかないと思った！

生死の前では、何が捨てられないというのだろう？

葉淇は陸厲沉を抱きしめた。

強く、しっかりと抱きしめながら、涙目で泣きながら言った。「もう二度と喧嘩なんてしないわ、陸厲沉、あなたのバカなことは全部許すわ！」

「あなたが空気が読めなくたってどうでもいい？あなたが私の好きな人なんだから！」

「あなたに育てられて、まだ何も分からない、純粋だった頃から、私がまだ自分があなたを好きだと気付いていなかった頃から、もうあなた以外考えられなかったの！」

葉淇はもう何も隠さなかった。

陸厲沉への好きな気持ちと愛を全て打ち明けた。

涙を浮かべた瞳には陸厲沉しか映っていなかった。彼をじっと見つめながら告げた。「これからは二度と不仲になんてならないわ。」

「私たちはちゃんと話し合って、ちゃんと愛し合いましょう。」

「誰も私たちの間を引き裂くことはできない、誰にもさせない！」

陸厲沉の瞳は喜びの光に満ちていた。彼は力強くうなずいた。「ああ！」

自分の命よりも大切な目の前の少女を見つめながら、深い声で言った。「淇淇、こうすれば君が心を開いてくれると分かっていたなら。」

「君がもう一度チャンスをくれて、僕を許してくれるなら。」

「もっと早く崖から飛び降りて、自分を死なせて...」

葉淇は手を伸ばして陸厲沉の口を塞いだ。まだ涙を浮かべた瞳で陸厲沉を睨みつけた。「そんな縁起でもない言葉を言わないで！」

「陸厲沉、あなたの命は私のものよ！」