第56章 私以外、誰も攻略できない

「しかもこの人もろくな人間じゃない。天に逆らい人を害する事をたくさんやってきた。私が吳蓉と夏無雙に対抗するには、彼のことも考慮に入れなければならない。そうしなければ、私が吳蓉と夏無雙を倒しても、彼が私たちを簡単に見逃すと思う?」

夏智はようやくすべてを理解した。

姉は彼の復讐を手伝っているだけでなく、彼らに対抗する計画も立てていたのだ。

しかし彼は何も知らなかった。

「姉さん、僕に話すべきだったよ。そうすれば僕も手伝えたのに。復讐したいなら、僕を置いていかないでよ。僕たちは家族だよ、僕も姉さんの復讐を手伝いたいんだ」夏智は真剣に言った。

彼は何も聞かずに、ただ無条件で彼女を支持しようとし、危険も恐れなかった。これは夏星河を感動させた。

夏星河は少し笑って言った。「智ちゃん、物事を深刻に考えすぎないで。安心して、本当に違法なことはしないわ。それに誰も私のところまで調べに来ないわ」

夏智はほっとした。「それならいいよ。姉さん、あなたが大丈夫なら良かった。じゃあ、次は何をするの?」

彼はもう彼女と一緒に大仕事をしたくてたまらなかった。

考えるだけでワクワクした。

夏星河はコンピューターの画面を見て、目には全てを掌握している自信が見えた。

「待つ」彼女は一言だけ言った。

夏智は理解できなかった。「何を待つの?」

「賞金が1000万まで上がるのを待って、それからまた私を探しに来て」

「1000万?」夏智は驚いて顎が外れそうになった。

こんな高額の賞金を、崔氏は出すのだろうか?

たった一つのウイルスのために、こんな高額の賞金を出すのか?

夏智はどうしても崔氏がそんなに馬鹿だとは信じられなかったが、姉は彼に待てと言った。彼は待っている間に誰かがこのウイルスを破ってしまい、彼らが何も手に入れられなくなることを恐れた。

夏智も馬鹿ではなく、夏星河がウイルスを配布した理由を既に推測していた。それは崔氏から金を脅し取るためだった。

夏智は彼女がそうすることに反対しなかったが、彼女の計画が失敗することを恐れていた。

なぜなら、崔氏が賞金を1000万まで引き上げるなんて、どう見ても不可能だからだ。