第65章 夏星河……彼の母

下半身のデザインは更に巧妙だった。

  スリットが入ったスカートは、彼女が歩くたびに、長くてまっすぐで白くスレンダーな脚をちらりと見せる。

  特に彼女の足元の10cmの赤いハイヒールは、彼女の身長を完璧に引き立てている。

  今や175cmの彼女は、全身真っ赤でも少しも俗っぽさを感じさせない。むしろこの赤は、彼女にしか着こなせないオーラを放ち、彼女の身に纏うことでのみ、太陽の女神のように熱く輝くことができるのだ。

  そう、夏星河の骨の髄から滲み出る自信と強大なオーラは、今の彼女をより一層光り輝かせ、人の目を焼くほど眩しい。

  これは今日、ドアで整列している二列の従業員が見た中で最も美しい女性だった。

  いや、彼らの人生で見た中で最も美しい女性だった……

  皆の心臓が激しく鼓動し、彼女が一体誰なのか非常に気になっていた。

  「姉さん、急に楚天心があなたの姿を見たときの反応が楽しみになってきたよ」夏智は唇を歪めて得意げに言った。なぜなら今日は、誰も姉に匹敵する人はいないからだ。

  あの人を見下す楚天心は、すぐに姉の足元にも及ばないことを知るだろう。

  そして席牧白も、ふん、そろそろ彼が見下していた妻がどれほど類まれな美貌の持ち主かを知るべきだ。

  夏星河のサポートのためでなければ、このような場に行っても意味がないのでなければ、夏智は本当に一緒に入って、彼らの反応を見たかった。

  実際、見なくても彼らの反応がきっと面白いものになることは分かっていた。

  しかし、彼は監視カメラを盗み見て、ライブ配信を見るつもりだった。

  夏星河は彼らの反応に興味がなかった。彼女がここに来たのは、ただ霖ちゃんの誕生日パーティーに参加するためだった。

  「入るわ」彼女は淡々と夏智に言った。

  夏智は頷いた。「うん。姉さん、気をつけて」

  「ええ」スカートを持ち上げ、夏星河は歩を進め、レッドカーペットをゆっくりと歩いてホテルに入った。

  「お嬢様、お客様の……」一人の従業員が前に出て尋ねかけたが、言葉が終わらないうちに、夏星河は招待状を挟んだ二本の指を伸ばし、従業員はそれを受け取った。彼女は従業員の確認を待たずに、振り返ることなく中に入っていった。