第92章 お尻を蜂の群れに刺された

「姉さんじゃないの？」蕭墨は驚いた。彼の言葉はどういう意味だろう。

　　夏智はすぐに興奮して彼の推測を語り出した。「魂移しって聞いたことある？」

　　「魂移し？それはまた何だ？」ネット小説に触れたことのない蕭墨には、それが何を意味するのか全く分からなかった。

　　「魂移しというのは……」

　　「智ちゃん、お尻のほくろは左側だよね」夏星河が彼と同時に声を上げた。

　　夏智は一瞬詰まり、顔を赤くすべきか白くすべきか分からなくなった……

　　「姉さん、そんな秘密を暴露しないでよ！」彼にだって尊厳があるんだぞ。

　　夏星河は目もつぶらずに言った。「だから私が魂移しされたっていう大秘密も、外に漏らさないでね」

　　「……」このジョークは全然面白くない。

　　「ちょっと待って……」蕭墨が疑問に思って口を開こうとしたが、夏智はすぐに彼の声を遮った。「姉さんが魂移しされた件はここまでにしよう。聞かないで、聞いても答えないから！」

　　「いや、ただ気になったんだけど、夏さんはどうして君のお尻にほくろがあるのを知ってるの？」

　　「重要なポイントを間違えてるよ！」夏智は呆れたが、誤解を避けるために親切に説明した。「7歳の時に、お尻を蜂の群れに刺されたんだ。だから分かるでしょ……」

　　「蜂がどうしてお尻だけを刺すの？」蕭墨は更に興味を示し、夏智は目を白黒させた。「そんなこと知るわけないでしょ。仕事に戻って！」

　　夏星河は彼が本当に知らないと思い、真剣に言った。「うん、そのことについてはまだ覚えてるわ。智ちゃんが……」

　　「姉さん――」夏智は突然彼女の言葉を遮り、威嚇するような目で彼女を見つめた。「もう一言でも言ったら、このかわいい弟を失うことになるよ？」

　　「……」夏星河は非常に落ち着いて目を瞬かせ、すぐにまたコンピューターの方を向いた。「みんな早く仕事に戻りなさい」

　　しかし蕭墨は引き下がらなかった。「夏さん、話を途中で止めちゃダメですよ。その後どうなったんですか？観客は皆見たがってますよ……」

　　「観客はお前一人だけで、他の人は読者って言うんだよ！」

　　「それでも読者に説明する必要があるでしょ……」