第87章 大きな選択

彼女は本当に彼に人を殺させようとしているのか？！

　　しかし、目の前のこの女性は、まったく人を殺すような人には見えない。

　　夏星河は彼の方を向いて見つめ、「一つの命と引き換えに、あなたの姉の一生の安泰を手に入れられる。私も最善を尽くして彼女を治療する。この取引をするかい？」と言った。

　　蕭墨は少し驚いた。

　　正直なところ、夏星河が提示したこの条件は確かに魅力的だった。

　　蕭墨はこの人生に何も追求することはもうなかった。最大の願いは姉の病気を治し、彼女に一生安泰な生活を与えることだけだった。

　　姉のためなら、何でもする覚悟があった。

　　しかし……

　　「あなたの提示した条件はとても良いです。でも、私は今、袋小路に追い込まれているとは思いません。さらに、これが私にとって最良の選択肢だとも思いません。」

　　結局のところ、人を殺すことは違法で、彼も命で償うことになる。彼が死んでしまえば、誰が姉の幸せを保証できるというのか？

　　それに、無実の命を奪うことが、ただ見知らぬ人の提示した条件のためだけというのは、あまりにも滑稽ではないか。

　　さらに、彼が生きている限り、いつかは姉に最高の人生を与える力を持てるはずだ。

　　だから彼には冒険する必要も、バカになる必要もまったくないのだ！

　　夏星河は彼がそう答えることを知っていた。彼女は頷いて、また冷淡に言った。「でも、もし私が殺してほしい人が崔銘だったら？」

　　「何だって？！」蕭墨は驚愕し、彼女を見る目つきが一瞬で変わった！

　　彼は非常に驚き、目には激しい感情が宿っていた。それは抑えきれない憎しみだった。しかしその憎しみは夏星河に向けられたものではなく、彼女の口から出た人物――崔銘に向けられたものだった！

　　「あなたは一体誰なんだ？」蕭墨は夏星河を冷ややかに見つめ、険しい表情で言った。「あなたと崔銘はどういう関係なんだ？なぜ僕に接触してきたんだ？！」

　　しかし、夏星河はゆっくりと落ち着いて答えた。「私は夏星河よ。あなたと同じように、崔銘は私の敵でもあるの。」

　　「僕と彼の間のことを知っているのか？」

　　「そうでなければ、どうしてあなたに接触するの？」