第111章 すでに彼の目に留まっている

かつて彼の前妻は彼の目に入らなかった。

  今、彼の婚約者の楚天心も彼の目に入らない。

  唐俊廷は非常に確信している。この人生で女性が彼の目に入ることはないだろうと。

  結局のところ、席牧白の女性に対する要求は高すぎるのだ。彼が目にかけられる女性は、非常に優秀で並外れた存在でなければならない。

  しかし、そんな女性はどこにいるのだろうか?

  いたとしても、おそらく彼の母親や祖母になれるくらいの年齢だろう。

  しかし今、彼は明らかに感じている。席牧白がその女性に強い興味を持っていることを。

  その女性は……すでに彼の目に入っているのだ。

  前回の席霖の誕生日パーティーで、唐俊廷は用事があって参加できなかったため、当然夏星河の身分を認識していなかった。

  だから、夏星河が何もしていないのに、席牧白がなぜそこまで彼女を高く評価するのか理解できなかった。

  唐俊廷は夏星河を見つめた。認めざるを得ない、あの女性のコンピューターを操る姿は格好良く、魅力的だった。

  しかし、彼女は少し疲れているように見える。顔立ちは完璧だが、全体的な印象があまり良くない。

  つまり、夏星河の外見はそれほど華やかではない。

  だから席牧白は彼女という人物に惹かれたのではなく、おそらく……彼女の能力に惹かれたのだろう?

  そう考えて、唐俊廷はようやく「やっぱり席牧白はこの人生で恋愛とは無縁だ」という了解したような表情を浮かべた。

  唐俊廷がわざとそう考えようとしているわけではない。ただ、席牧白が突然ある女性に興味を持ったということを信じられないのだ。

  それに、席牧白にはまだ婚約者がいる。他の女性に心を動かすはずがない。

  しかし、認めざるを得ない。あの女性は確かに注目を集めずにはいられない存在だ。

  唐俊廷は夏星河を見つめながら笑って尋ねた。「彼女が勝つと思う?でも彼女はどうやって夏智と知り合ったんだろう。時間を見つけて夏智に聞いてみないと。」

  「15分だ。」しかし席牧白は突然、話の流れに関係ない発言をした。

  唐俊廷は少し戸惑った。「何が15分?」

  席牧白は邪悪に唇を曲げた。「15分以内に、彼女は崔氏の金剛を破るだろう。」

  唐俊廷は驚いて顎が落ちそうになった。「そんなことあり得ない!」