第180章 おじいさんのところでは通じない

「だからあなたは本当にこの女性のことを好きになったの?」席おじいさんは馬鹿じゃない。席牧白が突然婚約を解消したのは、自分のためだけでなく、夏星河のためでもあるだろう。

  彼が一人の女性のために公然と両親や楚家に逆らうなんて、それは本気で気にかけているということだ。

  結局のところ、婚約を解消する方法はたくさんあるのに、こんな強硬な手段を取る必要はないのだから。

  席牧白も否定はしなかったが、肯定もしなかった。

  この沈黙の態度は、明らかに黙認している。

  席おじいさんは冷笑した。「どうした、再婚するつもりか?」

  席牧白は今回沈黙せずに答えた。「そういう考えはあります。」

  「私にはありません。」夏星河が突然声を上げた。声は冷たく淡々としており、否定は非常にはっきりしていた。

  彼女は席牧白が彼女と再婚したいと思っていることにさえ驚かなかった。

  彼が彼女に対してどんな態度なのかを考える興味もなかった。

  席おじいさんは冷笑した。「お前が心配すべきは、席家の門がお前を再び入れるかどうかだと思うがな。」

  「ご安心ください。私は一生心配することはありません。」なぜなら、彼女はそもそも入りたくないのだから。

  「口は達者だな。」席おじいさんは冷ややかに鼻を鳴らした。

  夏星河はこれ以上無駄な話題を続けたくなかった。直接的に言った。「おじいさま、私が今日ここに来たのは、子供に会うためだけでなく、あなたにもお会いしたかったからです。子供を数年間育てさせていただきたいのですが、ご承諾いただけないでしょうか。」

  席牧白は急に頭が痛くなった。

  彼はおじいさんの前でこの話をしないように警告したはずだ。

  おじいさんは彼ほど話が通じる人ではない。

  案の定、席罡の表情が一気に曇った。「何だと?!」

  「おじいさん、夏星河は子供を思う気持ちが強いだけです。」

  「お前は彼女のために弁解するな!彼女のどこに勇気があって、我が席家に子供をよこせなどと言えるのだ!私席罡のひ孫は一人しかいないのに、彼女によこせだと?誰が彼女にそんな勇気を与えたのだ?!」席おじいさまは突然怒鳴り声を上げ、目つきは人を食いそうなほど鋭かった。