「はい」夏星河は頷いた。30分待つのは全然問題ない。
どうせ今日ここに来たのは、子供に会うだけでなく、席おじいさまにも会うためだった。
「おばあさまはどこですか?」席牧白は突然使用人に尋ねた。
「おばあさまは裏庭におられます。若様、お会いになりますか?」
「いいえ、私からはお邪魔しません」席牧白の言葉が終わるや否や、ある女性が突然入ってきて言った。「お邪魔なんてとんでもない。昨日もおばあさまがあなたのことを話していたわ。きっとあなたにお会いしたがっているはずよ」
席牧白と夏星河が振り向くと、髪をきっちりとまとめ上げた、27、8歳くらいの女性が入ってくるのが見えた。
夏星河はこの女性に少し見覚えがあった。
彼女は席おばあさまが養子として迎えた孫娘で、名前は雲若冰という。その名の通り、人に与える印象は冷たいものだった。
しかも、型にはまった冷たさで、全身から近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。
彼女も自分の冷淡さを隠そうとはせず、入ってきてから夏星河を一度も見ようとしなかった。
まるで彼女がここに突然現れたことに少しも驚いていないかのように…
「一緒に裏庭に行かない?」雲若冰は数歩前に進み、淡々と席牧白に尋ねた。
雲若冰は席牧白より数ヶ月年上で、二人は姉弟関係だったが、実際の関係は全く親密ではなかった。
席牧白は彼女に対していつも礼儀正しく接していた。
「今のところ必要ありません。おじいさまに用があってここで待っているんです」
「何の用?」雲若冰は隣の夏星河をちらりと見て、「霖ちゃんに関することかしら?」
「ええ」席牧白は明らかに彼女とこれ以上話したくない様子で、答える口調も淡々としていた。
雲若冰は頷き、何も聞かずに立ち去った。彼女は大広間を通り抜け、すぐに裏庭へと向かった…
夏星河は彼女の後ろ姿を見て、何気なく席牧白に尋ねた。「彼女もコンピューターを学んでいたと思うけど」
席牧白は彼女がこのことに興味があると思い、惜しみなく説明した。「彼女が学んでいるのは医療情報学で、あなたの得意分野とは違います」
「医療情報学なら、医術も知っていないといけないわね」