「触らないで」しかし、彼が得た返事は、夏星河の冷淡な拒絶だった。
席牧白は少し驚いたが、怒るどころか、言い表せない喜びのようなものを感じた。
以前にも彼女に触れたことはあったが、彼女がこれほど拒絶したことはなかった。
だから彼女は今、この体に触れることを拒否しているのだ……
彼女はこの体に触れられるのが嫌なのだ。
席牧白は手を引っ込めて、笑いながら言った。「わかった。これからは一切触らない。誰も触らない」
この言葉を他人が聞いたら、きっと奇妙に感じるだろう。
しかし夏星河には理解できた。
彼女と夏夢、今は両方とも触れないということだ。
しかし席牧白は何故か寂しさを感じた。なぜなら、もう夏星河に触れることができないからだ。結局、誰に触れても間違いなのだから。