第312章 まるで冗談のよう

「必ず席家の訴訟を取り下げさせると誓います」夏星河は断固として言った。

葉深はようやく満足げな表情を浮かべた。「私と協力する必要があるわ。だって終末が来るんだから、ここで死にたくないでしょう」

「もしあなたがその時まで生きていられるなら、協力してもいい。ただし、あなたの言うことが全て本当だという前提でね」

なぜか、葉深は彼女の言葉一つ一つに説得力があると感じた。

彼女は強力な証拠や約束を示さなかったが、彼は何故か彼女を信じることを選んだ。

そもそも今、信じないという選択肢があるのだろうか?

終末まであと15年。

彼は時間をここで無駄にするわけにはいかない。早めに準備をしなければならない。

出所後は何も持っていないだろうが、ここに閉じ込められているよりはましだ。

それに……

彼にも計算があった。

葉深は夏星河から約束を取り付けると、知っていることを協力的に話し始めた。

「あれはブラックボックスじゃない。エネルギーブロックだ」彼は訂正した。

夏星河は意外そうな表情を見せた。「どんなエネルギーブロック?」

葉深は得意げに笑った。「宇宙船のエネルギーさ。これがなければ、地球から脱出することはできない」

夏星河の目が深く沈んだ。「スターリバー計画って何?」

「なかなか賢いじゃないか、もうスターリバー計画に気付いたのか」葉深は疲れた様子で両手を下ろした。長時間話し続けて、体力が更に衰えていた。「その計画が何なのか、私も詳しくは知らない。でも文字通りの意味だろう。地球から脱出して、他の惑星を探すってことさ。そうだろう?」

「……」夏星河は深い思考に沈んだ。

スターリバー計画は本当にそういう意味なのか?

「なぜ前の世代の人々が関係しているの?」

葉深は嘲るように言った。「さっき賢いって褒めたのに、なんで急に馬鹿になったの?彼らは終末を予言したから、当然早めに準備をしたんだよ。スターリバー計画は、地球から脱出したい人々が設計した計画さ」

「そう?じゃあ、その人たちはどこにいるの?」夏星河は彼を見つめて尋ねた。

「もちろん脱出したさ!彼らのスターリバー計画はとっくに始まっていた。でも私たちを連れて行くことはできなかったから、子孫のためにエネルギーブロックを残したんだ。これがあれば、終末の時に私たちにも脱出のチャンスがある」