第324章 ついに彼女を見つけた

十数人のボディーガードが至る所を探し回り、ほぼすべての階を見逃さなかった。

すぐに、彼らは2階の女子トイレで異変を発見した。

トイレの窓には、引き裂かれたタオルで作られた縄が結ばれていた。

縄は窓の外に垂れ下がっており、夏星河はその縄を伝って降りたのだ!

窓際に立つと、朝焼けの中、ボディーガードは遠くに夏星河が足を引きずりながら走る姿を見ることができた。

くそっ、まさかこんな形で逃げられるとは!

「全員注意、逃走中です。現在病院の正門に向かっています。全力で追跡せよ!」ボディーガードはトランシーバーを取り出し、急いで告げた。

連絡を受けたボディーガードたちは、全員が夏星河の逃走方向へ急いで追跡を開始した。

夏星河も速度を緩めることはできず、命がけで走り続けた。一呼吸するたびに死にそうな感覚に襲われながらも。

ついに、彼女は病院の正門を突っ切り、道路まで辿り着いた。

しかし、後ろのボディーガードたちも追いついてきそうだった。

この時間帯はまだ夜が明けたばかりで、道路の車は非常に少なかった。

歩行者もほとんどいなかった……

夏星河は追ってくるボディーガードたちを一目見て、突然、走ってくる乗用車に向かって突っ込んでいった!

「キーッ!」車の運転手は彼女の行動に驚き、急ブレーキをかけた。そして、命知らずにサイドミラーにしがみついている女性を呆然と見つめた。

その女性はサイドミラーにしっかりとしがみつき、車に跳ね飛ばされる不運を避けた。

しかし、先ほど彼女の体は衝撃を受けていた。

それだけでなく、彼女は素早く車のドアを開け、中に飛び込んできた。

「車を走らせて、10億円あげます!」夏星河は突然言い放った。

運転手は一瞬固まった。

「早く!でないと命がないわ!」彼女は呆然とする運転手に向かって叫んだ。

運転手も恐ろしげに追いかけてくるボディーガードたちを目にし、状況が分からないながらも反射的に車を発進させ、ボディーガードたちが追いつく前に急発進した!

「止まれ!」ボディーガードたちが後ろから必死に追いかけ、運転手はさらにアクセルを踏み込んだ。

夏星河はバックミラーをじっと見つめ、ボディーガードたちを振り切れたのを確認してから運転手に告げた。「警察署に連れて行って。お金は必ず支払われます」