夏星河の目に鋭い光が宿り、歯を食いしばって、全意志力を振り絞って体を起こし、動き出した……
数分後、看護師が彼女の様子を見に入ってきた。
「目が覚めましたか?」看護師は、布団に完全に覆われた人影を見つめながら、疑問の声を上げた。
彼女が前に出て布団をめくろうとした瞬間、布団の下にいたのは人ではなく枕だと気付いた時、突然首に痛みを感じ、その場で気を失って倒れた。
看護師が倒れると、その後ろに立っていた夏星河の姿が現れた。
夏星河は点滴スタンドを握りしめ、息を切らしていた。
たった今の行動だけで、全身の力を使い果たしたように感じ、目の前が暗くなりかけていた。
しかし彼女は時間を無駄にせず、素早く看護師と服を交換した。
看護師を自分に見立ててベッドに寝かせ、夏星河は浴室からタオルを数枚見つけ出し、医療用ハサミで細長く切り裂き、それらを全て結び合わせて、不自由な左足にしっかりと巻きつけた。