夏星河の目に鋭い光が宿り、歯を食いしばって、全意志力を振り絞って体を起こし、動き出した……
数分後、看護師が彼女の様子を見に入ってきた。
「目が覚めましたか?」看護師は、布団に完全に覆われた人影を見つめながら、疑問の声を上げた。
彼女が前に出て布団をめくろうとした瞬間、布団の下にいたのは人ではなく枕だと気付いた時、突然首に痛みを感じ、その場で気を失って倒れた。
看護師が倒れると、その後ろに立っていた夏星河の姿が現れた。
夏星河は点滴スタンドを握りしめ、息を切らしていた。
たった今の行動だけで、全身の力を使い果たしたように感じ、目の前が暗くなりかけていた。
しかし彼女は時間を無駄にせず、素早く看護師と服を交換した。
看護師を自分に見立ててベッドに寝かせ、夏星河は浴室からタオルを数枚見つけ出し、医療用ハサミで細長く切り裂き、それらを全て結び合わせて、不自由な左足にしっかりと巻きつけた。
長いナース服の下で、不自由な足を固定した。
少し歩いてみて、動きが普通に見えることを確認してから、夏星河は帽子とマスクを着用し、何事もないかのように外に出た。
ドアの外で見張っていた二人のボディーガードは、彼女が出てきても何の疑いも持たなかった。
昏睡状態のはずの夏星河が突然目を覚まし、看護師を気絶させて変装するなんて、誰も想像できなかったのだ。
そのため夏星河は難なく病室を出て、どんどん遠ざかっていった。
しかし、一見普通に歩いているように見えても、一歩一歩が苦痛に満ちていた。
体力が弱っているだけでなく、頭も痛く、全身が脱力感に包まれていた。
さらに普通に歩いているように見せるため、脚に大きな負担がかかっており、しばらく歩いただけで限界が近づいていた。
呼吸も、次第に困難になってきた……
額から汗が止めどなく流れ落ち、目の前の景色が霞み、二重に見えた。
夏星河はもはや感覚すら失いかけていた……
それでも彼女は歩き続け、意識力を催眠しながら、機械的に足を進めた。
どれだけの距離を歩いたのか分からないうちに、突然誰かにぶつかった。
「おや、大丈夫ですか?」その人は不思議そうに尋ねた。
夏星河は相手の顔も見分けられず、自分の異常に気付かれたかどうかも分からなかったが、もう露見するのは時間の問題だと悟った。