もしそれが本当の理由なら……もうおしまいだ。
席牧白の手に渡ったものは、もう取り返せないだろう。
問題は、席牧白がそれを何に使うのか、そのものは部外者には何の価値もないのに。
葉深は不安で、すぐに夏夢を探しに出かけた。
……
夏星河は彼が来ることを予想していた。ボディーガードからの報告を聞くと、冷ややかに言った。「通してあげなさい。」
「はい。」ボディーガードは立ち去り、すぐに葉深を案内して入ってきた。
葉深は、夏夢が今回も会ってくれないと思っていたが、まさかこんなにあっさり同意するとは。
リビングに入ると、一週間ぶりに見る夏夢の顔色が一段とよくなっているのを見て、思わず目を疑った。
なぜか分からないが、今の夏夢は以前より見栄えがよくなったような気がした。
彼女には、以前の夏夢には及びもつかない、落ち着いた威厳が漂っていた。