席牧白は無表情で夏夢を見つめ、彼女の不安げな目つきの中で、冷たく言った。「お前のために、良い体を見つけてやろうと思ってな」
夏夢は一瞬固まった。
彼がこんな話をしに来るとは思わなかった。
「だが、大人しくしていろ。この体をしっかり守れ。夏星河に何もなければ、お前に全てを与えてやる。もし彼女に何かあれば、お前の命を取る。分かったか?」席牧白は冷たく尋ねた。
夏夢は呆然と頷いた。「分かりました」
「よろしい」肯定の答えを得て、席牧白はようやく立ち去った。
夏夢は不思議に思った。これだけを言いに来たのだろうか?
なぜか、何か起きたような気がして仕方なかった……
でも、自分には関係ないだろう。この体にいる限り、安全なはずだ。
しかし、なぜか'夏星河'というお守りを持っているのに、安心感が得られなかった。
以前と同じように、全く安心感がない……
誰も自分を愛してくれないから、安心感がないのかもしれない。
夏夢は再び夏星河を羨ましく思った。でも、自分は永遠に彼女にはなれないことを知っていた。
……
薄暗い部屋の中。
ベッドの上で丸くなっていた夏星河が、か細く弱々しい体を少し動かした。
全身が汗でびっしょり濡れ、髪も湿っていた。
体が非常に弱っていて、少し動くだけでも全力を使い果たすような感覚だった。
夏星河は思いもよらなかった。死ななかった代わりに、もっと苦しい拷問を受けることになるとは。
昨日、あの男は彼女を殺さなかった。銃口を急に逸らし、弾は壁に当たった。
しかし、夏星河に薬物を注射させた。
あの男は言った。毒は毎晩発作を起こし、全身が引き裂かれるような苦痛を感じ、自殺したくなるほどの苦しみを味わうことになると。
夏星河は確かにその苦痛を感じていた。
昨夜一晩中、彼女は激しい苦痛の中で過ごした。実際に経験しなければ、こんな恐ろしい薬物が存在することさえ知らなかっただろう。
しかし、彼女は許しを請わなかった!
死にたいほどの苦痛でも、彼女は許しを請わなかった。
あの男が待っていたのは、まさにその許しだった。エネルギーブロックの在り処を白状させようとしていた。
夏星河は知らないし、たとえ知っていても、もうこの男には教えない。
なぜなら、彼は永遠に分からないだろう。彼女を拷問しても、欲しいものは手に入らないということを。