今は席家が彼らを抑えているとはいえ。
しかし、席おじいさんが亡くなれば、封家は必ず反撃してくるだろう。
だから、この数年間、席家は彼らへの対策を考え続けてきた。
だが、封家も確かに手ごわい相手だ。
手ごわいとはいえ、席牧白は恐れてはいない。
もし本当に封家が夏星河を傷つけているのなら、絶対に許さない!
「彼らかどうかに関わらず、我々と封家は決着をつけるべき時が来た」席牧白は席牧楠に低い声で言った。
席牧楠は真剣な面持ちで頷いた。「その通りだ。我々と彼らは、確かに早めに決着をつけるべきだ」
さもなければ、封家がさらに強大になってから、席家一族全体が災いを被ることになるだろう。
軍界は骨まで残さず人を食い尽くす場所なのだ。
ここでは、一歩間違えば、万劫不復の深淵に落ちることになる。
これらの話を終えると、席牧楠はついに心の中の興味を抑えきれず尋ねた。
「兄さん、ずっと聞きたかったんだけど、なぜあの夏夢という女性をそんなに気にかけているの?兄さんが好きな人は、甥っ子の実の母親じゃなかったの?」
席牧白は冷ややかに彼を一瞥し、「誰が私が夏夢を好きだと言った?」
席牧楠は興味深そうに、「好きじゃないのに、なぜ彼女の身の安全をそんなに急ぐの?」
さらには、手持ちの力を総動員して捜索を手伝わせているほどだ。
ここまでやっているのに、気にかけているんじゃないの?
「これは夏星河の指示だ」席牧白は目も瞬きせずに言った。
席牧楠は理解できなかった。「元義姉さんの指示?」
「ああ。彼女は私に夏夢を救えと言った。さもなければ、彼女に近づく機会がないと」席牧白は真に迫った様子で、嘘をつく時も目を瞬きひとつしなかった。
席牧楠は本当にそれを信じてしまい、舌打ちしながら席牧白を見た。
「意外だな、兄さん。まさか元義姉さんをそこまで大事に思っているとは。もし再婚したらどうするの?兄さんが妻に尽くす亭主になっちゃうの?」
席牧白が妻に尽くす亭主になる姿を想像し、席牧楠は受け入れられないというように体を震わせた。
その光景は、あまりにも目に痛く、想像したくもなかった。
席牧白は立ち上がり、淡々と言った。「少なくとも私にはその機会がある。お前には機会すらないだろう」
そう言って、表面上は冷静だが実は傲慢な態度で立ち去った。