夏星河は彼の隣に座り、素早くパソコンを操作していた。
豪華な防弾車の中には、専用のパソコンデスクが設置されていた。
車は速く、しかも安定して走っていた。
これは夏星河のパソコン操作を大いに助けていた……
席牧白が素早く指示を出し、夏星河も同様に、港の監視システムへの侵入に成功した。
「どうだ?」彼は電話を置き、横を向いて低い声で尋ねた。
「監視カメラは正常です。今のところ問題は見当たりません。」
「だが、奴らは今夜動くはずだ。」席牧白は低い声で言った。長引けば長引くほど良くないからだ。
夏星河は頷いた。「今夜行動を起こせば、必ず気付きます。」
そう言った直後、彼女は画面の異常に気付き、夏星河は思わず笑みを浮かべた。「来ました!」
侵入者が、来たのだ!
隠された一室で、金縁の眼鏡をかけた男が大型コンピューターの前で、港の監視カメラの映像を改ざんしていた。
彼の動きは熟練しており、すぐに監視カメラの映像を完全に改ざんした。
「できた!」男は得意げに口元を歪め、窓際に立つ背の高い男に向かって言った。「社長、監視カメラの改ざんは完了です。」
背の高い男は頷き、冷たい声で言った。「よくやった。すべて予定通りに進めろ。」
「はい!」傍らに立つ黒服のボディーガードは恭しく頷いた。
彼らの計画は、夜が更けて人気のない時間を狙って、武器をコンテナに隠すことだった。
もちろん、それを実行するには、まず監視カメラを改ざんする必要があった。
今、港の警備員たちは、自分たちが見ている映像が偽物だとは知らず、本物の映像は何も見えていなかった。
しかし、夏星河たちには見えていた……
席牧白の車は港の近くの人目につかない場所に停まっていた。
彼は画面を見つめ、厳しい表情で言った。「やはり奴らは今夜動くな。今度こそ、二度と戻れないようにしてやる。」
「直接捕まえますか?」夏星河が尋ねた。
席牧白は邪悪な笑みを浮かべた。「それじゃつまらない。内通者も一緒に炙り出してやる。」
夏星河は軽く笑った。「私もそう思っていました。では、ゆっくり見物させていただきましょう。」
「ああ。」席牧白は彼女と視線を交わし、お互いにしか分からない心が通じ合った笑みを浮かべた。
…………
夜はますます深くなっていった。