第342章 あまりにも魅了された

今回の作戦は体力を消耗したため、ほとんどの人が疲れ果て、夜中にはみんな眠りについていた。

目が覚めた時、武器が大量に盗まれており、当直の者たちは全員気絶させられていた。

しかし、誰も物音一つ聞いていなかった。後の調査で、飲み水に睡眠薬が混入されていたことが判明した。

「だから席牧楠が内部犯行の疑いをかけられているのか?」夏星河は問い返した。

席牧白は首を振った。「そう簡単に決めつけることはできない。だが、彼は今回の作戦の指揮官として、全責任を負わなければならない」

「つまり、盗品が見つからなければ、彼が責任を取らされるということか」

「そうだ」

「その結末はどうなる?」夏星河は更に尋ねた。

席牧白は沈んだ声で答えた。「結末はそれほど悲惨ではない。せいぜい免職と調査だ。もちろん、黒幕が望んでいるのはそんな結果ではないだろう」

「席家を一気に潰そうとしているのか?」夏星河は再び問い返した。

席牧白は少し驚き、じっと夏星河を見つめた。

「なぜそう考えたんだ?」

夏星河は口元を歪めた。「考えるまでもないでしょう?黒幕が封家なら、席家を踏み台にしてこそ最大の利益を得られる。それに封少煌は冷酷な男だ。慈悲を示すはずがない。敵に息つく暇を与えて、報復される機会は作らないはずです」

席牧白は頷いた。「その通りだ。私も同じように考えていた」

「それなら次は、きっと席牧楠を有罪にするためにあらゆる手段を講じてくるはず。単なる免職では影響が小さすぎる。必ず有罪にしなければならない。席家から國の罪人を出せば、もう政界には残れなくなる」

「私もそう考えていた」

夏星河は分析を続けた。「だから、彼らは武器を席家と関係のある場所に置くはずです。席家のどこが武器を隠すのに適しているでしょう?」

席牧白の目が鋭く光った。「席家の埠頭だ!」

席家の事業は大規模で、あらゆる分野に進出している。

海辺には席家専用の埠頭があり、毎日大量のコンテナが運ばれている。

もしコンテナの中から武器が見つかれば、これ以上ない証拠になる。

しかも一石二鳥の策だ!

席牧楠を有罪にできるだけでなく、席牧白も有罪にできる。

この一手で、席家を完全に潰すことができる。

席牧白は十分賢かったが、それでもこの点に気付かなかった。

夏星河がそれを見抜いたのだ!