そのため席牧白は傍観者でいられず、全力を尽くさなければならなかった。
さもなければ、席家は終わりを迎えることになる。
……
夏星河は夜になってようやく目を覚ました。
目を開けると、席牧白が壁際のソファに座って、書類に集中している姿が目に入った。
彼の頭上には柔らかな壁灯が一つだけ点いており、眩しくない光を放っていた。
書類をめくる音も微かで、ほとんど聞こえないほどだった。
夏星河は彼の端正で深みのある顔立ちを見つめ、一瞬うっとりとしてしまった。
「目が覚めた?」彼女の視線に気づいた席牧白が顔を上げ、魅惑的な微笑みを浮かべた。
夏星河はまた一瞬うっとりとしてしまった。
認めざるを得なかった。席牧白は美しすぎる...国を滅ぼすほどの美貌の持ち主だった。
体を起こしながら、夏星河は淡々と尋ねた。「何時?」
「夜の9時だ」席牧白は書類を置き、電話を取って使用人に食事を運ぶよう指示した。
夏星河は少し驚いた。まる一日近く眠っていたことに。
「調子はどう?」席牧白は立ち上がって彼女の方へ歩み寄り、隣に座ると自然に手を伸ばして彼女の額に触れた。
「だいぶ良くなったわ。もう大丈夫」夏星河は答えた。
一睡みして、確かに気分は随分良くなっていた。
席牧白は彼女の体温が正常で、状態も良好なのを確認して喜んだ。「起きよう。たくさん美味しいものを作らせたんだ。全部薄味で、君に合うはずだ」
「うん」夏星河は布団をめくってベッドから降り、直接洗面所へ向かった。
洗面とトイレを済ませて出てくると、食事はすでに用意されていた。
席牧白が食事に誘うと、夏星河はテーブルに着席した。香ばしい料理の匂いに、途端にお腹が鳴り出した。
彼女は半月近く意識不明だったため、体の細胞の一つ一つが美味しい食事を求めていた。
席牧白は彼女のお腹の音を聞いて、微笑んで彼女の茶碗におかずを取り分けた。「さあ、食べて。お腹を空かせたままじゃいけないから」
夏星河は少し照れくさそうに、箸を取って二口ほど食べてから、突然尋ねた。「霖ちゃんは?」
やっと目覚めたのだから、子供に会いたかった。
席牧白は目を逸らすことなく答えた。「休んでいる。明日会わせよう」
「明日は帰るわ」夏星河は率直に言った。
席家にずっといるつもりはなかった。自分の家があるのだから。