第347章 まさか彼女を追い出すなんて！

席家のこの人たちは、身分がとても高貴だった。

今は皆が彼女を引き止め、機嫌を取っているので、林芸は得意げだった。

彼女も恩知らずな人間ではないし、何より、席家を本当に敵に回すわけにはいかなかった。

「おじいさま、大伯父さま、二伯父さま、大おばさま、皆さまがそこまでおっしゃるなら、私もご厚意を断るわけにはいきませんわ。でも皆さまご高齢ですから、私のために付き合っていただくわけにはいきません。席にいさまがお忙しいなら、この方に付き添っていただきましょうか」林芸は突然笑顔で夏星河を見た。

夏星河は静かに目を上げた。彼女は、自分が突然指名されるとは思っていなかった。

席牧白の目は一瞬にして冷たく凍りついた。

席おじいさんたちは一瞬固まった……

林芸は彼らの表情に気付かないふりをして、純真そうに笑った。「私、この方とは一目で気が合いそうな気がして、ぜひ付き添っていただきたいんです。もちろん、席にいさまでも、この方でも、どちらでも構いませんけど」

林芸は明らかに意図的に彼らを困らせようとしていた。

席牧白が彼女の面子を立てないなら、彼が大切にしている女性を狙おうというわけだ。

席家が今回も彼女を断り、面子を立てないなら、林芸には彼らに対して強気に出る理由が十分にできる。

席家の人々も、彼女の意図的な嫌がらせを感じ取っていた。

以前なら、誰が席家にこんな態度を取れただろうか？

しかし今は相手に頼みごとがあるため、若造の女の子にこんな仕打ちを受けても我慢するしかなかった。

席おじいさんの表情が暗くなり、直接夏星河に命じた。「芸ちゃんが気に入ったなら、付き添ってあげてはどうかね？」

「星河、牧白が時間がないなら、代わりに芸ちゃんに付き添ってあげられないかしら？」席の母も彼女に尋ね、こっそりと暗示を送った。

席家は今非常時なのだから、彼女の助けを借りるしかなかった。

しかし夏星河の表情は相変わらず淡々としており、少しの動揺も見せなかった。

席牧白は思わず冷笑を漏らした。

彼は冷たく目を上げて林芸を睨みつけた。座っているにもかかわらず、人を見下すような雰囲気を醸し出していた。