第346章 彼女に取り入るなど、不可能！

いつも他人から頼まれてばかりだった。

今や席牧白に次々と断られ、彼女はもう面子が保てなくなった。

彼女は笑顔を引き締め、冷笑を浮かべながら言った。「席にいさんは私を歓迎していないようですね。」

「もちろん歓迎しています。」席牧白は目も瞬きせずに答えたが、どう聞いても適当な返事にしか聞こえなかった。

「歓迎しているなら、なぜ私の要求を断るのですか？」林芸は遠慮なく直接尋ねた。

席家も大きな一族だが、今は彼らが自分に頼みがあるのだから、遠慮する必要はないと思った。

それに、席牧白がこれほど自分の面子を潰すなんて、この腹立たしさは抑えられなかった。

まだ彼に用があるから我慢しているだけで、本当なら彼に取り入る必要など全くないのだ。

林芸が怒っているのを見て、席おじいさんは威厳を持って席牧白に言った。「牧白、芸ちゃんは遠路はるばる来てくれた大切なお客様だ。主人として、しっかりもてなすべきだ。今回我々が芸ちゃんの助けを必要としているからというだけでなく、そうでなくても、主人としての態度を示すべきだ。」

「そうよ、牧白。芸ちゃんを少しもてなすだけで、そんなに時間も取られないでしょう。」席の母も諭した。

彼らは彼が夏星河を好きで、他の女性との接触を好まないことを知っていた。

でも、彼に何かをしろと言っているわけではない。

今、席家は非常時期にあり、彼は林芸をもてなすだけで十分なのだ。

結局のところ、林家は勢力が大きく、林芸も情報局で働いているため、彼らの助けがあれば、席家の今回の危機をより円滑に乗り越えられるはずだ。

席牧白は当然彼らの考えを理解していた。

ただ残念ながら、今は林家の助けなど必要としていない。

たとえ必要だとしても、この女に良い顔はしない。

彼に近づこうとする女は全て嫌悪感を覚える！

席牧白は冷たく口角を上げ、「誤解されているようですね。私は林さんをお客様として扱わないわけではありません。ただ、本当に時間がないのです。私は最高のガイドを手配すると言いました。もちろん、林さんが他に何か必要なものがあれば、遠慮なく仰ってください。」

ただし、彼女に取り入るのは、絶対に不可能だ！

林芸は、席牧白がこれほど傲慢だとは思わなかった。