第345章 あっという間に席にいさんと呼び始めた

席家の人々は今では夏星河に偏見を持っていないものの、彼女には彼らの話し合いに参加する資格がないと考えていた。

席の母は夏星河に丁寧に微笑みかけ、「星河、体調が悪いなら休んでいきなさい。私たちが話し合うことは、外部に漏らせない内容なの」

このような露骨な追い払い方に、夏星河が気づかないはずがなかった。

彼女が何も言う前に、席牧白は彼女の手を引いて座らせた。

彼は低い声で言った。「彼女を帰す必要はない。彼女も聞いていい」

林芸の表情が一瞬険しくなったが、すぐに笑顔を取り戻した。「席さん、今回の件は重大な問題です。本当に彼女に聞かせて大丈夫なんですか？」

「夏星河には聞かせるべきではない」席おじいさんも重々しく口を開いた。「下がりなさい、時間を無駄にするな」

「私は彼女に全て話してある。彼女は全て知っている」席牧白が突然言った。

席おじいさんたちは一瞬驚いた。

席ちちは顔を曇らせ、「馬鹿な、こんな重要な事をむやみに話すとは！」

「夏星河は部外者ではない。彼女は私の息子の母親だ。だから、これは無闇な漏洩ではない」席牧白は相変わらず冷淡な口調だったが、夏星河に対して何も隠し事をしていないことを彼らに断固として伝えた。

林芸は冷ややかに笑った。「席さんがそうおっしゃるなら、彼女を残しましょう」

所詮ただの普通の女性に過ぎない、彼女は眼中にないといった様子だった。

席おじいさんは席牧白を不満げに睨みつけた後、林芸に優しい表情を向けて、「芸ちゃん、事の詳細は既に知っているね。私たち二家は付き合いがあるし、君のおじいさんは我が席家の人柄をよく知っている。当然、私の孫がそんなことをするはずがないことも分かっているはずだ。ただ、彼の潔白を証明する証拠が見つからないだけなんだ。だから今回は、君たちの力を借りなければならない」

林芸は頷き、自信に満ちた笑みを浮かべて言った。「席おじいちゃん、ご安心ください。おじいさまが私を派遣したのは、全面的に皆様を支援するためです。私は席家の人柄を信じています。私の持つ力を使って全てを解明し、席牧楠さんの潔白を証明します。しばらくの間、私はT市に滞在しますので、何かありましたらいつでもご連絡ください」