第336章 彼こそが封家の跡取り息子

席牧白はまだ興奮から覚めていなかった。

彼女の言葉を聞いて、少し戸惑い、パソコンの画面に目を向けた——

「あいつだ!」席牧白の目が鋭く光った。

画面に映る顔は異常なほど深い表情を浮かべており、見覚えがあった。

彼を見た瞬間、席牧白の全身から漂う雰囲気が暗くなった。

「お前を誘拐したのはこいつか?」彼は冷たく尋ねた。

夏星河は頷いた。「そうよ。あなた、彼を知ってるの?誰なの?」

席牧白は冷笑した。「やはり奴か。奴の身分は並じゃない。今は少將だ。T市では、我が席家以外で誰も手を出せないのが封家だ。こいつは封家の長男、封少煌だ。」

「封家?」夏星河はこういった人々に馴染みがなく、彼らのことを知らなかった。

席牧白は更に低い声で続けた。「封家は常に我々と競争している。ここ数年、彼らは急速に発展し、我が席家に取って代わろうとしている。昨夜、席牧楠が事故に遭ったが、おそらく彼らと無関係ではないだろう。」