第369章 この電球はまだ切れていない

「私もそう思います!」霖ちゃんは即座に頷いて同意した。

大人と子供が似たような大きな目で席牧白を見つめていた。まるで二頭の鹿のように。

席牧白は我慢して、微笑んで「わかった、変えよう」と言った。

彼の指示で、スタッフはすぐに映画を変えてくれた。

こんなにわがままが通るのは、上映室に彼ら3人しかいないから……

アニメを見ている時は、確かに雰囲気が良くなった。霖ちゃんは夏星河に内容を説明し続け、彼女が理解できないのではないかと心配しているようだった。

夏星河も彼に合わせて、同じように興味深く見ていた。

席牧白は最初、息子が自分より夏星河を上手く扱えることに少し不機嫌だった。

しかし後になって、彼は納得し、楽しくなってきた。

夏星河と霖ちゃんが楽しそうにしているのを見て、彼の気分も良くならないわけがなかった。

実際、何を食べるか、何を見るかは重要ではない。

彼の愛する人たちが楽しければそれでいい……

彼らが幸せなら、全世界を与えても惜しくない。

席牧白は考え方を変え、自分の要求でデートを計画することをやめた。すると、その後の遊びはずっと面白くなった。

霖ちゃんもとても明るく、新しいものすべてに興味を示した。

彼は夏星河と席牧白を連れて多くのものを体験し、二人の大人も子供の楽しみを味わうことができた。

この純粋で単純な楽しみは、とても貴重なものだった。

遊び疲れた頃には、空はすっかり暗くなっていた。

……

車が紫玉別莊に戻り、別れの時が近づくと、皆名残惜しそうだった。

夏星河が先に口を開いた。「私は先に帰ります。お二人も帰ったら早めに休んでください」

「うん、ママも早く休んでね」霖ちゃんは突然彼女を抱きしめ、恥ずかしそうに頬にキスをした。「ママ、今日はとても楽しかった。ありがとう」

夏星河の目が揺らめき、彼の額に優しくキスを返した。「私も楽しかったわ」

「僕もだよ」席牧白が身を乗り出し、低い声で言うと、彼女の頬に軽く熱のこもったキスをした。

夏星河は一瞬固まり、顔を向けると彼の深い眼差しと出会った。

霖ちゃんは笑みを押し殺しながら、わざと無邪気に尋ねた。「ママ、パパにもキスしないの?」

席牧白は即座に悪戯っぽく笑みを浮かべた。

この息子、やはり育て甲斐があった。