第354章 夏星河の手柄

さらに彼を怒らせたのは、彼の計画が本当に水の泡になりかねないということだった。

封少煌は去るとすぐに、警察署へと急いだ。

席家が本当に周家明を捕まえたのかどうか、確かめてやる！

……

封少煌が去ると、席家の上空を覆っていた暗雲が一気に晴れた。

席の母は喜びながら席牧白に尋ねた。「牧白、本当なの？私たちの嫌疑が全て晴れたの？」

席おじいさんたちも期待を込めて彼を見つめていた。

席牧白は微笑みながら頷いた。「はい、全て晴れました。牧楠の嫌疑も含めてです。」

「本当か！」席江年は興奮して言った。「一体どうなってるんだ？どうやって潔白を証明したんだ？」

席牧白は淡々と言った。「焦らないで、中で詳しく話しましょう。」

そう言って彼は中へ向かい、席おじいさんたちも後に続いた。

ただ夏星河だけはまだ動かなかった。

彼女は横目で、同じく立ち止まっている林芸を見た。

林芸は表情を険しくし、夏星河の視線に応えて冷笑した。「今回は運が良かったわね、嫌疑を晴らせて。でも次は、そう上手くはいかないでしょうね。」

「つまり、席家を陥れたのはあなたということ？」夏星河は意図的に冷たく問い返した。

林芸は軽蔑的に鼻を鳴らした。「あなたたちのような愚かな行いをする人たちを、私が陥れる必要なんてないわ。待っていなさい、あなたたちのような分別のない人たちは、いずれ大きな目に遭うわ。」

「私が知っているのは、あなたがここで思い上がって愚かな振る舞いをしているということだけよ。」夏星河はそう言い放つと冷たく立ち去り、これ以上無駄話をする気はなかった。

「あなたなんかに何が言えるというの！」林芸は憤慨したが、夏星河は完全に無視し、席家の人々も相手にしなかった。

林芸はこれまでこのような扱いを受けたことがなく、怒りが爆発寸前だった。

「ふん、私にこんな態度をとるなんて、いずれ思い知らせてやるわ！」林芸は歯ぎしりしながら、大股で立ち去った。

夏星河は振り返り、彼女の後ろ姿を冷たく見つめた。

再び顔を向けると、席牧白の深い眼差しと出会った。

席牧白は林芸の後ろ姿を冷たく見つめた後、心配そうに夏星河に尋ねた。「彼女が何か言ってきたの？」

「彼女に何が言えるというの？」夏星河は反問した。

席牧白は彼女の凄さを知っていた。誰も彼女を傷つけることはできない。