夏星河は素直にワイングラスを持ち上げ、彼とグラスを合わせた。
赤ワインの味は素晴らしく、夏星河はこんなにリラックスして飲んだのがいつだったか思い出せなかった。
席牧白も同じような気分のようで、一口飲んで、嬉しそうな笑みを浮かべた。「この感じ、いいね」
彼女と一緒に飲むのが心地よかった。
それだけではなく、今は彼女と一緒にいるだけで、何をしても心地よく感じた。
離れていた間、ずっと彼女のことが恋しかった。
今、彼女に会えて、心は大きな満足感に包まれていた。
でも、まだ見飽きない気がして……
席牧白はゆっくりとワインを飲みながら、ずっと彼女を見つめていた。
彼の眼差しは深すぎて、複雑すぎて夏星河には何も読み取れなかった。
そう、彼女には理解できなかった。なんとなく分かっているようで、いつも曖昧で、はっきりしなかった。