第410話 突然チートを使い始めた

何度も撃墜されそうになった。

中のパイロットは若い少年だった。

経験はそれほど多くなかったが、戦闘機のパイロットになることは彼の夢だった。

今回の演習に参加するのも必死で勝ち取ったものだった。

部隊の名誉を上げられると思っていたのに、ずっと受け身の立場に追い込まれていた。

基本的に、逃げることしかできなかった……

しかし少年は決して諦めなかった。最後の瞬間まで、少しの油断も諦めもしないと決めていた!

そして少年が再び敵の攻撃を避けた時、通信イヤホンから突然、澄んだ美しい女性の声が聞こえてきた。

「これから私があなたをサポートします。専門用語は分かりませんから、私の言うことをよく聞いて、すぐに左に曲がって——」

少年がこれは一体どういうことかと驚いている間に、左折の指示が聞こえてきた。

長年の命令遵守の習慣が功を奏し、彼は反射的に指示通りに素早く左に曲がった。

彼が避けた直後、一機の戦闘機が彼がいた場所めがけて攻撃を仕掛けてきた。

少年が驚いた瞬間、イヤホンからまた素早く指示が飛んできた。

「上昇して、右に曲がって攻撃!」

少年は再び反射的に従った。なぜそうするのか分からなかったが、攻撃を放つと、見事に敵の戦闘機一機を撃墜することができた!

少年は目を見開いて驚愕した。

閆逵たちも口を開けたまま、目が飛び出しそうなほど驚いていた。

これは……あまりにも驚くべきことだった!

夏星河は本当に敵の動きを予測し、先手を打って反撃したのだ。

さっきのタイミングがほんの少しでもずれていたら、彼らの戦闘機が撃墜されていたはずだった。

しかし千載一遇のその瞬間に、彼女は敵の意図を見抜いていた。

彼らにはまだ何も見えていなかったのに……

彼女はどうしてこんなに凄いのだろう?

席牧楠たちの心は複雑な思いで一杯だったが、それ以上に抑えきれない興奮があった。

こんな凄い人材に出会えたことを、彼らは光栄に思った。

……

事実、夏星河の頭脳は確かに高速で作動するコンピューターのようだった。

彼女は計算する必要すらなく、経験と直感だけで敵の次の動きを判断できた。

それは、ある程度知識のある人間が本能的に物体の放物線を予測できるようなものだった。

完全に正確ではないかもしれないが、おおよその軌道は間違っていない。