柯瑞と山禾は自然に頭を下げ、警備員のような姿勢を取った。
夏星河は多くの監視カメラの映像を次々と本物の映像に修正した。
チャールズを救出する時、彼女はまた修正するつもりだった……
黎亞とオオカミさんは素早くチャールズが収容されている牢屋を見つけ、警備員から取った鍵で扉を開け、中に入ってチャールズを救出しようとした。
彼らの行動は全て迅速かつ的確だった。
当然、緊張感と重苦しい空気が漂っていた。
チャールズを救出して来た道を戻れば、完全な成功となるはずだった。
しかし、その重要な瞬間に、夏星河は監視カメラの一つから軍用車の長い列が軍営の門に入ってくるのを見た。
これらの車の到着で、軍営全体が目を覚ました。
多くの兵士たちは既に就寝していたが、全員が起こされ、全ての兵士が動員され、警備は一気に厳重になった。
夏星河は眉間にしわを寄せ、急いで山禾たちに連絡した。「みんな軽はずみな行動は取らないで。軍営に大勢の人が来て、今は外が兵士だらけよ。出て行けば必ず見つかるわ。」
山禾たちの表情が僅かに変化した。
誰もこんな予想外の事態に遭遇するとは思っていなかった。
「どうすればいい?」山禾は小声で尋ねた。
「とりあえず動かないで、私の指示を待って。」夏星河はそう言うと状況の監視を続けた。
どんな要人が来たのか分からないが、軍全体が出迎えに出るほどの人物だった。
既に就寝していたバロンまでも慌てて服を着替えて出てきた。
……
「フィリップ将軍はどこだ?」バロンはズボンを手に持ちながら慌てて階段を下り、副官に緊張した様子で尋ねた。
「将軍は既に軍営に到着されました。全員に出迎えるよう指示を出しました。」
「なぜ突然来るんだ、事前に連絡もなしに。」バロンは焦りのあまり文句を言わずにはいられなかった。
「はい、将軍の来訪は本当に突然でした。」副官もうなずきながら言った。
そう言いながらも、彼らは一刻も無駄にする余裕はなく、最速で出迎えに向かった。
演習場に到着すると、バロンは一目で演習場に威圧的に停まっている十数台の軍用装甲車を見た。
最前列の車が最も豪華だった。
フィリップ将軍がその中にいることは言うまでもなかった。
バロンは急いで前に進み、車窓越しに後部座席に座る軍服姿の、威厳のあるフィリップ将軍を見た。