「でも……」黎亞が前に出て何か言おうとしたが、夏星河に引き止められた。
黎亞は不思議そうに振り返ると、夏星河は軽く首を振り、何もしないように示した。
なぜか、黎亞は不思議と彼女のアドバイスに従った。
おそらく山禾も気づいていただろう。今日は何の得もない、抵抗を続ければ大きな損害を被るだけだと。
家を手放すのは惜しかったが、命の方が大切だ。
「分かりました、長官。すぐに出ていきます。ですが、私たちの荷物を持っていくことを許可していただけませんか?それと、武器も返していただけないでしょうか?」
「何も持ち出すことは許さん!」バロンは冷酷に即座に否定した。
山禾は愕然とした。「何も持てないなんて、私たちの武器は……」
「武器も駄目だ。全て没収する。これがお前たちへの教訓だ!次に俺の命令を無視したら、お前たちの命を没収するぞ。分かったか?」バロンは険しい目つきで問いかけた。