第439章 バロン隊長

「反抗する者は容赦なく処刑する！」先頭の将校が再び命令を下すと、もはや誰も動く勇気はなくなった。

全員の武器は没収され、山禾は立ち上がって言った。「バロン隊長、灰鼠たちが意図的に挑発し、彼らが先に手を出したんです。この件は私たちには関係ありません。正当防衛だったんです。」

なるほど、あの男が彼らの言うバロンだったのだ。

クインも慌てて弁解した。「バロン隊長、山狼組織の連中があなたの指示に従わなかったんです。家を明け渡すように言ったのに、死んでも渡さないと言い張って。隊長、彼らはあなたの命令を無視し、まったくあなたを眼中に入れていません。私は腹が立って、手を出してしまったんです。」

「隊長、これは私たちの家なのに、なぜ灰鼠の連中に渡さなければならないんですか？」オオカミさんが前に出て不服そうに尋ねた。

「隊長の決定に理由なんて必要ですか？隊長のすることは全て正しいんです！」クインは大声でお世辞を言った。

黎亞は密かに軽蔑の念を込めて唾を吐いた。

「バロン隊長、一体これはどういうことなんですか？」山禾もバロンを見つめて尋ねた。

バロンは体格が良く、両目は常に陰鬱で、非常に凶悪な印象を与えていた。

彼は口角をわずかに上げ、山禾を冷たく見つめ返して問い返した。「私に何が起きているのか聞いているのか？」

「はい。」山禾は頷いた。彼らも彼の機嫌を取りたかったが、自分たちの家は簡単には手放せなかった。

なぜなら、それは彼らにとって唯一の家だったから……

まさか本当に尋ねる勇気があるとは。

バロンの雰囲気はさらに陰険になった。「私の決定に、お前が異議を唱える必要があるのか！すぐに全員出て行け。ここはもう灰鼠組織に与えた。チャールズの顔を立てて、今回は見逃してやる。さもなければ、全員逮捕するぞ！」

山禾たちの表情が変わった。

バロンは説明すら与えようとしなかった。彼らは彼がこのような態度を取るとは予想していなかった。

「隊長、これはあなたが直接チャールズに与えた家じゃないですか。家にはチャールズの名前が書かれているんです！」オオカミさんが突然怒って反論した。「今になって取り上げるなら、それなりの理由があるはずです。」

バロンは突然拳銃を彼の額に向け、凶悪な様子で言った。「もう一度聞いてみろ。殺すぞ！」