第457章 完全なる失敗

牢屋に隠れている黎亞とオオカミさんも警戒して準備を整えていた。

空気はますます凝固し、息苦しさを感じさせた。

山禾はすぐにチャールズの牢屋の前に来た。

彼はバロンに背を向け、鍵で扉を開けるふりをして、扉を開け、頭を下げて恭しく脇に立った。

バロンは動かずに、冷たく命じた。「中に入って、奴を連れて来い!」

「はい」山禾は更に声を低くして答え、体も一層緊張した。

バロンが入って来ないなら、どうやって彼を捕らえればいいのか?

山禾はゆっくりと体を回し、頭の中で瞬時にバロンを捕らえる無数の方法が閃いた。

最善の方法は今のようだ……

「動け、見つかったぞ!」イヤホンから、突然夏星河の声が響いた。

山禾はほぼ瞬時に機関銃を構え、もう一方の手でバロンに掴みかかった。

「捕まえろ!」しかし、バロンも素早く反応し、大声で叫びながら、部下の一人を引き寄せて盾にし、拳銃を山禾に向けた。

「バン!」バロンは躊躇なく発砲し、山禾は即座に動作を中止し、危うく避けた。

牢屋の中の黎亞たちも飛び出してきて、機関銃を構えてバロンに向かって発砲した。

バロンは部下の背後に隠れ、その部下は瞬時に弾丸の雨に打たれて穴だらけになった。

同時に、大勢の兵士たちが押し寄せてきた。

「誰も動くな、全員武器を下ろせ!さもないと人質を殺す!」先頭の将校が叫び、無数の兵士たちが続いて、まるで壁のように彼らを完全に封じ込めた。

十数丁の機関銃が、冷たく恐ろしげに彼らを狙っていた。

しかし最前列に盾にされているのは柯瑞だった……

彼は捕まっていた。

山禾たちはもはや軽挙妄動できず、ただ爆弾を取り出して警戒しながら対峙するしかなかった。

バロンは部下の死体を盾にして、ほとんど狼狽えながら安全な場所まで退いた。

彼は死体を放り出し、険しい目つきで彼らを睨みつけた。「山禾、やはりお前たちか!よくも軍に潜入して脱獄を企てたな!」

山禾たちの表情は深刻だった。計画がこれほど完全に失敗するとは思っていなかった。

「バロン、チャールズを捕らえたのはお前だ。脱獄を企てても文句は言えまい!」山禾は冷たく答えた。