第472章 もう二度と余計な気持ちを抱かない

今になって面目丸つぶれだな。

山禾は自分の無力さに呆れ果てていた。

たった一回の勝負で、席牧白は完全勝利を収めた!

男同士の勝負は、すぐに優劣がはっきりした。

席牧白は満足げに言った:「ルールが分かったなら、これからは仲良くやろう。」

「はい、はい。」黎亞たちは素直に頷き、状況判断が的確だった。

臆病だからではなく、こんな理不尽な死に方をする必要がないからだ。

二人の男の嫉妬で命を落とすなんて、割に合わない。

どうせ彼と女を争わなければ生きていけるなら、簡単な話だ……

そしてこれ以降、誰も夏星河に対して余計な思いを抱くことはなくなった。

彼らの協力的な態度を見て、席牧白も寛容になった。「行こう、もう大丈夫だ。」

そう言って、彼は夏星河の手を引いて立ち去った。

黎亞たちは互いに支え合って立ち上がり、山禾は霜に打たれた茄子のように元気がなかった。

オオカミさんは彼の肩を叩いて慰めた。「兄弟、俺たちがいるじゃないか。」

柯瑞も慰めた。「負けたって大したことじゃない、俺たちいつも負けてるだろ?」

それを聞いて、山禾の心はさらに痛んだ。

今回で何度目の失恋だろう?

なぜいつも失敗するんだろう?

黎亞は彼を不思議そうに見つめて言った。「星河のような女性に彼氏がいないと思ったの?絶対に男が殺到するに決まってるじゃないか。」

山禾:「……」

もちろんそれは予想していたが、自分が太刀打ちできない男だとは思わなかった。

チャールズも沈んだ声で慰めた:「あいつには敵わない、負けても恥じることはない。行こう、俺たちが助かったのも、あいつのおかげだ。」

それこそが山禾の心を更に痛めた点だった。

自分の命は恋敵に救われた、もはや恋敵として立つ資格すらない。

とにかく、山禾は二度と夏星河に対していかなる想いも抱かなくなった。

数人が外に出ると、軍隊は誰一人として彼らを邪魔しなかった。

フィリップも軍隊に撤退を命じ、彼らは車で出発しようとしていた。

ずっと横で声を出せずにいたバロンがついに我慢できずに口を開いた。「将軍、待ってください!」

車に乗ろうとしていたフィリップが振り返り、冷たく尋ねた:「何か用か?」