席牧白はまさにそのつもりだった。
彼らに夏星河を守らせることで、少し安心できるだろう。
「よし、一緒に行こう。今すぐ準備して、出発だ!」
……
席牧白たちはすぐに出発した。
フィリップは彼のために精鋭部隊を残し、全権を委任した。
今回の任務は百嘉麗を救出することだけで、他のことは一切関係ない。
しかし、IV組織に気付かれずに人を救出するのは、実際かなり難しい。
そのため、道中ずっと対策を練っていた。
夏星河はパソコン機器まで持って行った。
これは彼女の基本ツールで、パソコンがなければ彼女の能力を発揮できない。
彼らがIV組織に向かう途中、フィリップはすでに立候補届を提出しており、明日から選挙戦が始まる。
阿莉雅は彼が妥協したことを非常に喜んでいた。
「フィリップ、とっくにそうすべきだったのよ。でも今の選択は賢明だわ。これがあなたの最も賢明な選択になるわ」
「百嘉麗に手を出すなよ。さもないと後果は自分で責任を取ることになる」フィリップは無表情でそう言い残して立ち去った。
今は彼女の顔など見たくもなかった。
阿莉雅は彼の背中を見つめて冷笑した。
どうして百嘉麗に手を出さないわけがあろうか。
百嘉麗はフィリップを奪い、彼の愛まで手に入れた。この恨みをどうして呑み込めようか。
でもすぐに、彼女は望むものすべてを手に入れ、やりたいことすべてができるようになる!
フィリップ、その時はあなたが私に跪いて懇願することになるわ……
そう考えると、阿莉雅は得意げに立ち去り、明日の選挙も非常に楽しみにしていた。
翌日はすぐにやってきた。
全國で選挙フィーバーが巻き起こった。
この混乱の絶えない國で、大統領選挙はいつも期待と焦燥を呼び起こす。
人々は一方で新しい大統領が彼らを苦境から救ってくれることを期待し、他方でこの機会に不満を吐き出したがっていた。
そのため、立候補者それぞれに支持者と批判者がいた。
それだけでなく、敵國も密かに介入し、選挙結果に影響を与えようとしていた。
しかし全体的に見て、支持率が最も高かったのはフィリップだった。
彼は常に評判が良く、テロリスト組織や敵國の軍隊に対して強硬な姿勢を示してきたため、ほとんどの国民が彼の就任を支持していた。
阿莉雅は第二位だった。