夏星河は淡々と説明し、状況を見通していた。
山禾たちは聞いて驚いた。
山禾は目を細めて言った。「つまり、フィリップが彼らと協力しても、彼らは彼を当選させないということ?」
「その通り。あなたたちが彼らの立場なら、フィリップと阿莉雅、どちらを選ぶ?」夏星河は逆に問いかけた。
山禾たちは言葉を失った。
彼らの立場なら、当然阿莉雅を選ぶ!
「百嘉麗を救出しなければならないようだな」とオオカミさんは低い声で言った。
黎亞は別のことを考えていた。彼女は少し興奮して、「私たち小物が大統領選びに関わることになるなんて。どうして急にこんなに凄いことになったの?」
山禾は空想に耽った。「もしフィリップが成功したら、私たちは功労者になるんじゃない?」
「私たち、出世できるのかな?」柯瑞も我慢できずに尋ねた。
「少なくとも、もう小物ではなくなるだろうな」とオオカミさんは軽く笑って言った。
黎亞は急に嬉しそうに笑い出した。「やった!これで私たち、出世できるわ!」
夏星河は彼らの興奮ぶりを見て、面白そうに言った。「先走らないで。百嘉麗を救出してから喜んでも遅くないわ」
山禾は頷いた。「その通りだ!今回は必ず百嘉麗を救出する。私たちの未来のためにも、國のためにも!」
「そうだ、必ず百嘉麗を救出するぞ!」皆は血が騒ぐような興奮を覚えた。
もし以前は義理と責任感で人を救おうとしていたなら、今は自分たちのためという思いが強くなっていた。
これは彼らにとって人生を逆転させる唯一のチャンスだ。しっかりと掴まなければならない。
山禾たちは黎亞の言葉を思い出した。
金のない男に幸せはない。
彼らは成功したかった。もう役立たずでいたくなかった。
夏星河は彼らのやる気に満ちた様子を見て、自身も自信を持てるようになった。
彼女はすぐに仕事に取り掛かった。もう時間を無駄にしたくなかった。
席牧白たちがIV組織に変装して潜入する前に、全ての監視システムと防御システムを制御下に置かなければならない。
言わば、夏星河の任務が最も重要だった。
彼女が成功してこそ、この計画に勝利の望みがある……
……
選挙二日目、選挙戦は依然として白熱していた。
フィリップと他の立候補者たちは、人々を奮い立たせる演説を行った。