第503話 彼のことが好きなの

席牧白は彼女を見逃すつもりはなく、しつこく尋ねた。「私は?」

「あなたは……」夏星河は口を開いたが、どう答えればいいのか分からなかった。

空気は一瞬、凍りつくような微妙なものとなった。

しかし席牧白は期待に満ちた眼差しで彼女を見つめ続け、答えを知りたがっていた。

彼は知りたかった。彼女の心の中で自分がどんな位置にいるのかを。

彼女を待ち続けると言い、強制はしないと約束したが、それでも焦りながら知りたかった。

席牧白がますます緊張してきた時、夏星河は突然真剣に答えた。「あなたも私の友達です」

席牧白:「……」

友達という言葉は、あまりにもショッキングだった!

夏星河は更に真面目に説明を続けた。「私たちが友達というのは少し変かもしれないけど……」

「夏星河」席牧白は困ったように頭を抱えながら彼女の言葉を遮った。「僕が君と友達になりたいと思っているとでも?」

「……」

「僕が君とどうなりたいのか、まだ分からないの?」席牧白は熱い視線を向けながら言った。「本当のことを教えて。今、君の心の中はどう思っているの?」

夏星河は少し黙った後、逆に尋ねた。「本当に知りたい?」

「うん」

「実は今は何も考えていないの。ただ封少煌への対処と、スターリバー計画の真相を突き止めることだけを考えているわ」

席牧白は思わず苦笑いを浮かべた。

彼女は本当に正直すぎる。

思わず彼女の手を握りながら、彼は尋ねた。「僕たちのことは全く考えていないの?」

「考えたわ、少しだけ」

まあ、少しでも考えてくれたなら、それでいい。

「何を考えたの?」席牧白は優しく導くように尋ねた。

夏星河は再び正直に答えた。「これらの問題が片付いてから、真剣に感情のことを考えようと思って」

「……」席牧白は本当に彼女に参ってしまった。

聞くべきじゃなかった。聞かなければ傷つかなかったのに!

「じゃあ、僕のことは好き?少しでも?」やっぱりマゾだ。傷つくと分かっていても、聞かずにはいられない、知りたくて仕方がない。

席牧白は夏星河の前では、プライドも自制心も何もかも忘れてしまうと感じた。

黄河に至らずんば死せずという言葉も、彼には当てはまらない。

彼は黄河に至っても諦めない人間だった。