だから彼女は拒絶せず、反対もしなかった。
席牧白は彼女が怒っていないのを見て、また思わず頭を下げてキスをした。
ただし、今回のキスは、より深く、より情熱的で……
飛行機はすでに雲の上を飛んでいた。
窓から差し込む陽の光が、キスをする二人を暖かく包み込んでいた。
その光景は何とも美しく、心を揺さぶるものだった……
席牧白は、このキスが今まで生きてきた中で最高の瞬間だと感じた。
しかし、これが最後になることは絶対にないだろう。
彼は夏星河を抱きしめながら、まるで全世界を手に入れたかのように幸せそうに笑っていた。
いつか必ず夏星河を、この世界で最大の幸せを本当に手に入れることができると信じていた。
しかし、彼らの幸せへの道のりには、まだ多くの困難が立ちはだかっていた。
でも二人は心を一つにして、すべての問題を解決していくだろう。
……
席牧白と夏星河が帰る途中、席家は大きな問題に直面しようとしていた。
夏星河が去って以来、席家は大きなプレッシャーにさらされていた。
警察は容疑者を逃がしたとして彼らを告発し、様々な調査を続けていた。
席おじいさんのような高貴な身分の人物でさえ、事情聴取を受けていた。
最も頻繁に調査されていたのは席牧楠だった。
彼が夏星河と最も接触が多かったからだ。
最初に夏星河を軍隊に入れたのも、保釈したのも、逃がしたのも彼だった。
さらに、以前から武器取引に関与した疑いがあったため、重点的な調査対象となっていた。
席牧楠はすでに職務停止処分を受けていた。
さらに訴訟も起こされ、現在は拘束され、軍事裁判所での裁判を待っている状態だった。
席家の面子があるため、席牧楠は拘束されているものの、特に不当な扱いは受けていなかった。
彼が収容されている部屋には何でも揃っており、まるでホテルのようだった。
唯一の違いは、外に多くの警備員が配置されていることだった。
席家の人々が彼に面会に来る度に、いくつかの手続きを経なければならなかった。
現在、彼の父も一時的に職務停止となり調査を受けており、席家の状況はさらに悪化していた。
しかし席牧楠の心境は良好で、毎日部屋で新聞を読んだり本を読んだりと、まるでバカンスに来ているかのようだった。