しかし声は少し弱まった。「席牧楠、正直に教えなさい。夏星河はどこにいるの?」
この質問は、彼らは既に何度も尋ねていた。
最初、席牧楠は知らないと答えていたが、今では返事すら面倒くさくなっていた。
林芸は彼が全く協力的でないのを見ても、怒らず、相変わらず優しく尋ね続けた。
「あなたは夏星河と一緒に武器取引に関わっていたのではないですか?」
席牧楠はまだ答えず、ただ嘲笑うように笑った。
林芸は相変わらず上品な微笑みを浮かべながら、「あなたたちは自分たちが暴露されないように、わざと夏星河を逃がしたのではないですか?」
「……」
「席牧楠、あなたが素直に認めれば、裁判官はあなたに寛大な処分を下すでしょう。でも認めなければ、罪状は重くなります。夏星河と武器組織が結託していた証拠は動かぬものです。今、あなたたちが彼女を逃がしたことで、疑いは確実なものとなっています。素直に認めることだけが、ある程度の寛容を得られる唯一の道です」林芸は諭すように言った。